退職面談とは?
ほとんどの企業では、退職面談を実施しています。
これは、退職する従業員の中から選ばれた人、特に会社として退職を惜しむ人材を対象に行う、質的な1対1の面談です。
率直なフィードバックを集め、なぜ会社を辞めるのか、その理由を理解することを目的としています。
退職面談は、従業員と雇用主との関係を、人間味があり、建設的で、前向きな形で正式に締めくくる機会でもあります。
退職面談のメリットとデメリット
メリット:
- 会話をある程度コントロールできるため、必要に応じて追加質問や確認を行い、より深く掘り下げることができる
- 表情やボディランゲージなど、対面だからこそ得られる情報もある
- より個人的なつながりを築くことで、率直なコミュニケーションにつながり、退職する従業員を将来的なブランド・アドボケート(ブランドの支持者)に変える機会にもなる
- 「従業員の意見は大切にされている」というメッセージを、すべての従業員に伝えることができる
デメリット:
- 退職する従業員がどれだけ正直に、率直に話してくれるかに左右される
- 良い印象を最後に残したい、また将来の推薦状やリファレンスを良いものにしたいという思いから、退職する従業員が問題を「オブラートに包んで」話す可能性がある
- 面談では、回答する前に十分に考える時間を取りにくい
- 匿名性がない
- 回答や評価に偏りが生じる可能性がある
- 時間がかかる
退職アンケート(Exit Survey)とは?
退職アンケートとは、従業員が会社を離れるタイミングで実施するアンケートです。これは、なぜ従業員が会社を辞めるのかを理解するための非常に有効な方法です。
退職アンケートを通じて、離職に関する傾向を特定し、そこから学び、具体的な改善策を実行することで、離職率を下げることができます。
たとえば、新しい従業員を採用するためのより効果的な採用戦略や、企業文化、働き方、マネジメントスタイルの改善などが考えられます。退職アンケートでは、従業員から率直なフィードバックを集め、なぜその従業員が会社を離れるのか、その背景にある理由を理解することができます。
これは、退職する従業員の経験から、良かった点も悪かった点も含めて学ぶ機会です。場合によっては、退職アンケートを補完するために、役員など一部の退職者を対象として1対1の面談を行うこともあります。アンケートだけでは把握できない体験や情報を補ったり、正式な対話だからこそ得られる情報を引き出したりするためです。
すべての退職者に面談を行う必要はありません。
退職アンケートのメリットとデメリット
メリット
アンケートは、
- 利用しやすく、規模を拡大しやすく、簡単に配布できる
- 回答内容が統一されているため、傾向やトレンドを分析しやすい
- 機密性・匿名性があり、率直なフィードバックを得やすい
デメリット
- 面談ほど深い情報を得られず、細かなニュアンスを捉えにくい
- 回答内容を誤って解釈する可能性がある
- アンケートが避けられたり、無視されたり、最後まで回答されない可能性がある
ソーシャル退職アンケートとは?
ソーシャル退職アンケートでは、360度フィードバックを活用します。
退職する従業員の同僚、チームメンバー、直属の部下、マネージャー、その他の関係者などを対象にアンケートを行います。
ソーシャル退職アンケートでは、さまざまな職場での人間関係から情報を集めるため、なぜその従業員が退職を選んだのかについて、より広く、客観的な全体像を把握することができます。
実際には、従業員の退職面談、退職アンケート、ソーシャル退職アンケートのどれか一つを選ぶ必要はありません。
3つすべてを活用することで、さまざまな角度から情報を集め、なぜ従業員が会社を離れるのかを理解し、人材を適切にマネジメントするために必要な情報を得ることができます。
なぜ退職面談のプロセスが必要なのか?
1. 組織の課題や改善が必要な領域を特定するため
会社を離れる従業員は、組織内にある構造的な問題を特定するための貴重なデータ源です。複数の退職者から得られた情報を分析すると、繰り返し現れる共通のテーマが見えてきます。たとえば、キャリア開発の機会が不足している ,コミュニケーションがうまくいっていない, マネジメントが非効率、または混乱しているといった問題です。こうしたパターンが見えてくれば、具体的な改善策を講じることができます。弱点を改善することで、同じ理由によるさらなる離職を防ぎ、組織全体の従業員体験を向上させることができます。
2. 望ましくない離職の原因を把握するため
望ましくない離職は、一般的に次のような理由から起こります。
- 成長・能力開発の機会が不足している
- オンボーディングが不十分
- 自分が評価・大切にされていると感じられない
- 給与や福利厚生に魅力を感じない(特に現在のような高インフレ環境では重要)
- マネジメントに問題がある
- 仕事への満足度が低い
- ワークライフバランスが悪い
- 同僚やマネージャーとの対立(場合によっては)
これらの問題は、時間をかけて少しずつ積み重なっていくことがあります。
そして、退職を決断するきっかけは、新入社員からシニアマネジメントまで、従業員ライフサイクルのどのステージでも起こる可能性があります。
望ましくない離職を減らすために重要なのは、なぜ離職が起こるのか, 同じ問題が、他の優秀な従業員にも起こらないようにするには何ができるのかを理解することです。優れた退職面談プロセスがあれば、こうした情報を得ることができます。
3. 組織のブランドと評判を守るため
2024年のEX Trends Reportでは、従業員のオンボーディング・プロセスが十分に重視されておらず、改善が必要であることが示されました。
その後、2025年のEX Trends Reportで、過去12か月間の従業員の体験について調査したところ、退職時のプロセスと候補者向けのプロセスは、オンボーディングよりもさらに悪い状態であることが分かりました。
これは改善する必要があります。
なぜなら、入社時と退職時の体験は、組織と従業員、そして顧客との関係に強い影響を与えるからです。
第一印象と最後の印象は重要です。
ポジティブな体験は、従業員が会社を離れた後もブランドの支持者(アドボケート)であり続けることにつながります。
一方、ネガティブな体験は、ブランドの評判を傷つけ、将来的な人材採用にも悪影響を与える可能性があります。
退職する従業員から情報を集めなければ、なぜ人が会社を辞めるのかを明らかにする重要なデータを失うだけでなく、将来のブランド・アンバサダーになり得る人材を遠ざけてしまう可能性もあります。
これは改善することが重要です。なぜなら、入社時と退職時の体験は、組織と従業員、そして顧客との関係に大きな影響を与えるからです。第一印象と最後の印象は重要です。ポジティブな体験は、従業員が会社を離れた後もブランドの支持者(アドボケート)であり続けることにつながります。
一方、ネガティブな体験は、ブランドの評判を損ない、将来的な人材採用にも悪影響を与える可能性があります。退職する従業員から情報を集めなければ、なぜ人が会社を辞めるのかを明らかにする重要なデータを失うだけでなく、将来のブランド・アンバサダーになり得る人材を遠ざけてしまう可能性もあります。
4. 現在の従業員と将来の従業員の体験を改善するため
退職する従業員を尊重し、話に耳を傾け、その意見を大切にする、適切に管理された体系的な退職面談プロセスは、退職者に良い最後の印象を残すだけではありません。それは、現在働いている従業員に対しても、「自分が退職するときも同じように丁寧に扱ってもらえる」という安心感を与えます。その結果、従業員の士気を高め、公平性を大切にする企業文化をつくり、組織が本当に従業員の声に耳を傾けていることを示すことができます。
退職プロセスにおける匿名性と機密性の重要性
退職アンケートは、匿名かつ機密性の高いものにすることが非常に重要です。そうすることで、退職する従業員が、報復を受けたり、組織との関係を悪化させたりすることを心配せずに、率直かつ建設的なフィードバックを安心して伝えられる場をつくることができます。企業側にとっても、匿名で機密性のあるフィードバックには大きな価値があります。なぜなら、通常、フィルターがかかっておらず、偏りが少なく、より正確な情報を得られるからです。
自分の回答が本人に紐づけられないと信頼できる従業員は、マネジメント、職場の文化、組織に根付いた問題など、デリケートなテーマについて、より率直に自分の経験を話す傾向があります。そこで得られるインサイトやパターンは、より意味があり、正確なものになります。そして、それらを活用することで、従業員体験全体を改善することができます。
成功する退職面談プロセスの「Do’s and Don’ts」
ここでは、効果的な退職面談を実施するためのベストプラクティスを紹介します。
Do:やるべきこと
- 退職アンケートや退職面談をHRポリシーの一部として組み込む。そうすれば、従業員が退職するときに、こうしたプロセスがあることをあらかじめ理解できる。
- 退職面談の計画と準備をする。まず退職アンケートに回答してもらい、必要に応じて1対1の面談を行う
- 退職する従業員の完全な機密性を確保する
- 会社に関する情報について、従業員にも守秘義務があることを確認する
- 全員に同じ退職面談の質問をする
- 「はい/いいえ」だけでは答えられない、より詳しい回答を引き出せるオープンな質問をする
- 個人ではなく会社そのものに焦点を当て、組織を改善し、前進させることを目的とする
- 従業員の直属のマネージャーも参加させる
- 面談で集めた情報を分析し、その結果を実際の改善につなげる
Don’t:やってはいけないこと
- すべての従業員に退職面談を義務づける。このプロセスは基本的に本人の意思で参加するものにする
- 従業員を引き止めようとする。退職の意思を伝えた時点で、それを考える機会はすでにあった
- 退職最終日まで待って面談を行う。その頃には従業員は他のことに気を取られ、仕事への関心も薄れている可能性がある
- 特定の人物や具体的な出来事について質問する
- 個人や出来事について、自分自身の意見を述べる
- 会話が職場のうわさ話やゴシップに発展することを許す
- ポジティブで効果的な退職面談が、将来の会社のブランド・アンバサダーを生み出す可能性があることを忘れない
退職面談で聞くべき質問のテーマ
Qualtricsが従業員の離職について行った調査では、退職アンケートを通じて測定することが重要な4つの主要業績評価指標(KPI)が明らかになっています。
1. 期待と実際の体験
「全体として、この会社で働いた経験は、どの程度あなたの期待に応えるものでしたか?」
2. 他人に会社をすすめる可能性
「知り合いに、この会社を『働くのに良い会社』としてすすめたいと思います。」
3. 組織への帰属意識
「私は、この会社に自分の居場所があると感じていました。」
4. 再入社する可能性
「私は、将来的にこの会社に再び入社することを検討すると思います。」これらの質問によって、組織は退職する従業員が、どれだけポジティブな経験をし、良い印象を持っていたのか , 会社の支持者(アドボケート)として退職するのか、それとも批判者として退職するのかを理解することができます。
Qualtricsは、ポジティブな従業員体験を生み出す6つの重要な要素も挙げています。
1. 能力開発
成長することは、人間にとって基本的な欲求の一つです。さらなる成長・能力開発の機会を求めることは、転職先を探す主な理由の一つとして、ますます重要になっています。
以下のような点から測定できます。
- 意義のあるキャリア開発についての話し合いがあるか
- パフォーマンスについて定期的に話し合っているか
- スキルを向上させる機会が与えられているか
2. エンパワーメント/仕事を遂行できる環境
これは、従業員が仕事をきちんと進めるための能力や環境が整っていることを意味します。特に高いパフォーマンスを発揮している従業員が「十分に仕事を進められる環境がない」と感じると、それは大きなストレスや不満につながる可能性があります。従業員が生産的に働くために、必要なリソースや適切な物理的な職場環境が用意されていたかを理解することが重要です。
以下のような点から測定できます。
- 仕事が自分のスキルや能力を十分に活かせているか
- 業務プロセスが生産性を支えているか
- マネージャーが仕事の障害を取り除くサポートをしているか
- 職場環境やテクノロジーが生産性を支えているか
3. 報酬
仕事において、自分の貢献に対して公正な報酬と適切な評価を受けることは、従業員と雇用主との関係を支える基本的な要素です。これらが期待と合っていない場合、雇用関係に対する他の不満や問題がさらに大きくなる可能性があります。
以下の点から測定できます。
- 給与が公平であるか
- 従業員のニーズに合った福利厚生が提供されているか
- 意義のある評価・称賛を受けているか
4. サポート
従業員は、大切にされ、尊重され、過度な仕事を抱え込まないことが重要です。現在の従業員は、仕事量とプライベートの生活を柔軟に両立できる仕事を、ますます求めるようになっています。また、高いレベルの尊重と信頼がある職場環境も求めています。
サポートは、以下のような点から測定できます。
- 信頼できる人間関係があるか
- マネージャーがチームを尊重しているか
- 組織の変化に適応するための十分なサポートがあるか
- マネージャーが従業員のウェルビーイングをどれだけ大切にしているか
5. 価値観
働くことは、単に「仕事を持つ」ということだけではありません。それは、その人自身の価値観の一部でもあります。
従業員が「自分の会社は、自分が大切にしている価値観を体現している」と感じる場合、エンゲージメントスコアが高くなる可能性が27%高く、3年以上働き続ける可能性も23%高くなります。つまり、退職する従業員は、自分には合わない企業文化から離れているとも考えられます。多くの従業員は、自分自身の価値観と企業文化が合っている組織で働くことを選びます。
価値観は、以下のような点から測定できます。
- オープンで正直なコミュニケーションがあるか
- 会社が社会や世界に与える影響を誇りに思えるか
- 経営陣やマネジメントの行動が、会社の価値観と一致しているか
6. 仕事量
従業員が、仕事とプライベートで必要なことを無理なく両立できることは非常に重要です。もはや、従業員をエンゲージさせ、一生懸命働くよう促すだけでは十分ではありません。エンゲージメントの高い従業員であっても、良好なワークライフバランスを確保できないと感じていれば、その組織で長期的に働く未来を描く可能性は低くなります。
そのため、仕事量が適切に管理でき、仕事とプライベートの両方のニーズに対応できるだけの柔軟性があるかを測定します。
このモデルには、従業員が「なぜ会社を辞めるのか」を尋ねる質問に加えて、「もし会社が何かできたとしたら、何をすれば退職を防げたと思いますか?」**という自由記述形式の質問も組み合わせます。
さらに、組織内のさまざまな従業員グループによって体験にどのような違いがあるのかを理解するために、属性に関する質問も含めます。
退職面談のフィードバックを従業員ライフサイクルに組み込む
退職面談で得られるフィードバックは、それだけで完結するものではありません。
それは、従業員ライフサイクルにおける最後のステージなのです。
人事部門が、退職面談のフィードバックを、オンボーディング、エンゲージメント、トレーニング、能力開発、その他のアンケートや従業員からのフィードバックに関するデータと組み合わせることで、その従業員にとって何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを、包括的かつ一元的に把握できるようになります。
さらに、これを組織全体のデータに広げて分析すれば、さまざまなパターンを発見できます。たとえば、オンボーディングの体験が良くないことが、より高い離職率につながっているといった傾向です。そうしたデータをもとに、弱点となっている領域の改善に重点的に取り組むことができるようになります。
Qualtricsで退職面談のフィードバックを自動化する
XM for Employee Experienceを活用することで、なぜ優秀な従業員が会社を離れるのかを理解し、望ましくない離職を減らすために、組織全体で必要なアクションにつなげることができます。
リアルタイムで得られる従業員の退職面談インサイトによって、優秀な人材を定着させ、より幸福度が高く、エンゲージメントの高い組織をつくるために必要なデータを手に入れることができます。その結果、退職に伴うオフボーディングの負担も減らすことができます。
具体的には、以下のことが可能になります。
- HRIS(人事情報システム)との連携によって退職面談のフィードバックを自動化し、従業員から率直でオープンなフィードバックを収集できます。これにより、HRチームはフィードバックの収集そのものではなく、その内容を改善につなげることに集中できます。
- AIとインテリジェント・アナリティクスの力を活用し、従業員が退職を決断する前に早期に問題を発見して対応できます。
- 従業員ライフサイクルのさまざまなステージで得られたフィードバックをつなげて分析し、いつ介入すべきなのかを理解できます。これにより、離職を減らすために最も大きな効果が期待できるタイミングで対策を講じられます。
- すべての従業員フィードバックを1つのプラットフォームに集約し、それぞれのやり取りが従業員体験全体にどのような影響を与えているのかを理解できます。
- 分析したフィードバックを経営層と共有し、実際の改善につなげることで、「フィードバックのループを閉じることができます。そして、意味のある変化を生み出し、優秀な人材を会社に定着させることにつなげられます。