ソラスト + クアルトリクス + アビームコンサルティング
ソラスト + クアルトリクス + アビームコンサルティング
現場を支えるエッセンシャルワーカーへの「個への伴走」を実現。3万人の「声」を拾い上げて的確なケアにつなぐ
(本事例は2026年5月開催のExperience Live Tokyo 2026講演をもとに構成しています)
クアルトリクスを活用し、入社1年未満の離職率が半減
医療や介護、保育を支える約3万人ものエッセンシャルワーカーを擁する株式会社ソラスト。人がいなければ成り立たない労働集約型のビジネスにおいて、従業員に長く働き続けてもらうことは経営の最優先課題です。
同社は、従業員一人ひとりの「声」に寄り添い、的確な改善アクションへとつなげるため、クアルトリクスの従業員体験(EX)管理ソリューション「Qualtrics EmployeeXM™」を活用。保育の分野で、入社1年未満の離職率を半減させるという、極めて大きな成果を生み出しました。
事業インパクトが大きい早期離職を、何としても防ぎたい
社会を支える「現場」で働くエッセンシャルワーカーのエンゲージメント低下が世界的な課題となっています(※1)。ソラストも例外ではありません。全国1,400以上の医療機関、700以上の介護事業所、首都圏を中心とした60以上の保育園などにて、約3万人(うち約90%が女性)の従業員を抱える同社にとって、従業員の定着は最優先課題でした。
「当社のビジネスモデルは労働集約型であり、病院の受付や会計で働く職員、介護士、保育士といった『現場で働く人』がいなければ成り立ちません」とソラストの菅野透氏(IT戦略本部 IT企画室 室長)は語ります。
少子高齢化や働き方の多様化により採用が年々困難になる中、とくに入社1年未満での早期離職は事業インパクトが大きく、こども(保育)事業も同様でした。
「せっかく採用できたのに、すぐに辞めてしまうとなると、事業インパクトも非常に大きくなります。そこで1年未満の離職を何とか防げないか、そのために始めたのが、オンボーディング(新入社員の順応を促進する取り組み)の施策です」(菅野氏)
(※1)Workvivo社が世界中の現場従業員約7,500人を対象に行った調査報告「The Frontline Gap」(https://frontline.workvivo.com/)より
入社後の「気持ち」をワンストップで可視化し、タイムリーに対応
離職を防ぐためには、従業員一人ひとりの声をリアルタイムに拾い、先んじて対策を打たなければなりません。すでにソラストは、入社から退職に至るまでのさまざまな体験を一つのシステム上で可視化できるよう、クアルトリクスの「Qualtrics EmployeeXM™」の運用を従来から進めていました。
「年1回の社員意識調査(エンゲージメントサーベイ)を根幹とし、ストレスチェックや360度評価、さらには保育現場での『人権擁護のためのセルフチェックリスト』など、さまざまなアンケートをクアルトリクスのプラットフォーム上で実行する仕組みを構築しています」(菅野氏)
この仕組みをさらに活用し、新入社員の離職防止に役立てようと考えたのです。
成果を上げたオンボーディングサーベイと、本社からの直接ケア
こども事業における「1年未満の離職防止」を基軸とした施策として、いち早く成果を上げたのが、「オンボーディングサーベイ(新入社員向け調査)」です。
オンボーディングサーベイは、新入社員の体験や満足度を測定し、入社後の順応を促進するための調査です。新入社員にとって入社直後の体験は、会社への全体的な印象を決めるだけでなく、その後のエンゲージメントやモチベーション、そして「この会社で働き続けたい」という定着率に直結するため、組織の将来を左右する重要な意味を持ちます。
早期離職を防ぐため、ソラストでは入社後から1年目までの間に、定期的なアンケートを計8回配信する仕組みを構築しました。ここで菅野氏らが最も徹底したのが「本音が言える仕組みづくり」と「回答率100%の達成」です。
「現場での人間関係が離職の大きな要因になり得るため、調査結果は本社スタッフだけが確認するようにしました。また、アンケートに答えない人が辞めていく傾向にあるため、回答率が100%になるまで、本社スタッフが付きっきりでフォローしたのです」(菅野氏)
この熱意を、クアルトリクスのシステムが強力に後押ししました。アンケートの自動配信に加え、スコアが低下した従業員や、ケアが必要な従業員をシステムがリアルタイムで特定。新入社員の「本音」のアラートを的確に提示してくれるからこそ、本社スタッフは迷うことなく迅速なケアに注力できたのです。
1年未満の離職率が半減。的確なフォローをデータが導いた
上の図が、ソラストの取り組んだ「オンボーディングサーベイ」の概要です。アンケートの結果、「ソラストへの入社に対する満足度」が著しく低いなど、アラートが出た従業員に対しては、現場の関係性に配慮しつつ、本社のスタッフが直接本人に連絡を取ります。そして、状況をヒアリングしてスピーディーな問題解決を図ります。また、未回答者(高リスク層)に対しては、地道な回答フォローアップを徹底しました。
オンボーディングサーベイの手応えを、菅野氏は次のように語ります。
「こども事業にてオンボーディングサーベイに全力で取り組んだ結果、2024年度には、入社1年未満の離職率が半減したのです。続く2025年度は、さらに状況が良くなっています。取り組みを始めて以来、退職代行を利用した突然の退職もなくなりました。本社との間でコミュニケーションを図れるようになったことが大きかったと考えています。取り組みの効果を非常に強く実感しています」(菅野氏)
具体的な調査スケジュールは下の図のとおりです。入社後から1年間にわたる、こうしたきめ細かなサーベイと的確なフォローが実を結んだと言えます。
AIと包括的支援で、持続可能なケア体制へ
こども事業におけるオンボーディングサーベイは大きな成果を上げましたが、今後の新たな課題も見えてきました。
「未回答者やスコアの低下した従業員に対して本社スタッフが付きっきりでケアを行う体制を果たして継続できるのか。さらには、同様なサポートを医療や介護でも実現できるのか。そうした懸念が生じています」(菅野氏)
そこで、パートナーとしてソラストを支援しているアビームコンサルティングが構築したのが、生成AIを活用したサポートシステム「『個』に寄り添うAIコンシェルジュ」です。クアルトリクスに蓄積された膨大な従業員体験データが基盤となっており、新入社員の意図を汲む「24時間相談窓口」と、離職予防に向けた要ケア対象者の見極めと具体的なアクション提案を行う「こころのダッシュボード」の2つの機能がプロトタイプとして運用されています。
「AIコンシェルジュは、単なる汎用のチャットボットではありません。これまで人事担当者が付きっきりで行っていた要ケア対象者の見極めをアシストできることに加え、蓄積されたベストプラクティスに基づき、『週1回、5分だけでも園長との時間を作るとよい』といった具体的なアクションまで提案するレベルに達しています。これらのAI機能は、アビームコンサルティング本社内AIC(ABeam Intelligent Center)ショールームにて体験可能です」とアビームコンサルティングの佐藤一樹氏(People & Culture Strategy Unit、Director )は語ります。
さらに、アビームコンサルティングの西垣智裕氏(Intelligent Operational Excellence Business Unit、Principal)は、同社が提供するエッセンシャルワーカー向けの支援について次のように語ります。
「私たちの支援は、単なるAIツールの提供といった『点』にとどまらず、組織全体を『面』として捉えて最適化します。システム構築から運用オペレーションのアウトソーシング(BPaas)、さらにはAI化で浮いた人員のリスキリング(再教育)や受け入れ体制の構築といった人的資本の出口戦略まで、エンドツーエンドで包括的に支援できる点が特徴です」
ソラストの事例は、クアルトリクスが「現場の埋もれがちな『声』を拾い上げ、的確なタイミングで一人ひとりの気持ちに寄り添うケアを実現するプラットフォーム」であることを示しています。パートナー企業の高度なAI技術と掛け合わせて構築された「持続可能なケア体制」は、これからも同社のエッセンシャルワーカーの定着と活躍を力強く支えていくに違いありません。
使用している製品
>> Qualtrics EmployeeXM™
https://www.qualtrics.com/ja/employee-experience/
参考情報
>>プレスリリース「ソラスト、クアルトリクスの従業員エクスペリエンス管理ツールを採用」
https://www.qualtrics.com/ja/press/2022-11-solasto/
「こども事業にてオンボーディングサーベイに全力で取り組んだ結果、2024年度には、入社1年未満の離職率が半減したのです。続く2025年度は、さらに状況が良くなっています。取り組みを始めて以来、退職代行を利用した突然の退職もなくなりました。本社との間でコミュニケーションを図れるようになったことが大きかったと考えています。取り組みの効果を非常に強く実感しています」
菅野透氏
IT戦略本部 IT企画室 室長
株式会社ソラスト