理想的な顧客プロファイルとは?
理想的な顧客プロファイル(ICP)とは、B2Bにおけるアカウントベースドマーケティング(ABM)で、組織が販売する製品やサービスに最も適した企業像を説明するものです。これらは「理想の購買者プロファイル」と呼ばれることもありますが、本質は同じであり、ビジネスにとって最適な顧客を定義することを意味します。
通常、各組織のICPは理想のリード(見込み客)とみなされた架空の企業像として形作られます。つまり、これは営業チームに対して最も反応が良いリードであり、理想的な予算、規模、立地、ニーズを備えた企業像となります。
理想的な顧客プロファイルを決定する他の要因には、法的利益相反(例えば、既に取引している企業が競合他社との取引を望まない場合)、地域に基づく制限、また時間的な要件を満たすことなどが含まれます。
この記事の後半で詳細に説明しますが、ビジネスと営業チームが、成功した取引に最もつながりやすいリードに努力を集中させることが、堅固なICPを構築する目的となります。
そもそも、潜在的な顧客がその企業に適していない場合やその顧客が反応を示さないことが分かっているなら、なぜ時間とリソースを無駄に費やしてそのビジネスを追いかける必要があるでしょうか?
理想的な顧客プロファイル(ICP)とバイヤーペルソナの違いは?
ICPとバイヤーペルソナは同じものではありませんが、よくその概念の理解に混乱が生じることがあります。実際、ICPとバイヤーペルソナは互いに影響を与え合いものであり与え合うものであり、互いに補完し合う関係にあります。
バイヤーペルソナとは?
バイヤーペルソナは、顧客のインサイトと市場調査に基づいて作成された、理想的な顧客を象徴する半架空のキャラクターです。各企業にはターゲットオーディエンスが存在し、オーディエンスを顧客セグメントに分類しています。
実際、各ターゲット顧客に対して複数のバイヤーバイヤーペルソナを設定するのが一般的です。すべての顧客が同じであるわけではなく、またニーズも一致しないため、異なるタイプの買い手を分類するのが賢明な手段です。
バイヤーペルソナを作成すると、顧客セグメントを「現実のもの」として具体化し、そのセグメントを実際に存在する人物として想像できるようにします。そのため、ペルソナを念頭に置いた効果的なマーケティング戦略を策定しやすくなると考えられています。
やはり、最もシンプルな考え方としては、理想的な顧客プロファイル(ICP)が、そのバイヤーペルソナが所属する企業を説明するものだと捉えることが一番です。例えば、ホテル業界にフリート(企業や団体が所有する複数の車両)を販売するシーンを想定しましょう。ICPがホテルチェーンの場合、そのバイヤーペルソナは、そのホテルチェーンのオペレーションマネージャーの可能性が高いです。
この点を踏まえると、理想的な顧客プロファイルとインサイトペルソナが、マーケティング、営業、サポートの各戦略の異なる部分にどのように影響し、相手にどのように情報を提供すべきかが明確になります。理想的な顧客プロファイルは、企業が有望なリードやアカウントに焦点を絞る際に欠かせない要素であり、バイヤーペルソナを構築することで、企業が特定のデモグラフィックや特有の特性に合わせ、努力を最適化できるようになります。
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理想的な顧客プロファイル(ICP)が重要な理由は?
理想的な顧客プロファイル(ICP)を構築するのは、アカウントベースドマーケティング(ABM)で最も重要な要素の一つです。ABMとは、マーケティングに戦略的なアプローチを採用し、自社のビジネスに反応する可能性があり、かつ適切にサポートできる潜在顧客に焦点を絞るものです。
そもそもICPはリードの選定に役立つため、ここで非効率性を削減できます。理想的な顧客の堅固なテンプレートを基に、新しいリードと比較することは、シンプルながら非常に効果的な手法です。なぜなら「この見込み客は当社から購入する可能性が高いか?」というシンプルな質問を投げかけることができるからです。
その質問への答えが「ノー」であれば、営業とマーケティングの両部門のチームが時間、労力、リソースを節約できます。
理想的な顧客プロファイルを構築する過程で、提供できるものとできないものを明確にすることが重要ですが、ICPを活用すれば、カスタマーサポートチームも恩恵を受けることでしょう。例えば、潜在的な顧客のニーズが現在のサービスや商品の能力を超えている場合、その点を認識しないまま取引をしてしまうと、最終的にはカスタマーサポートやカスタマーサクセスチームのリソースを消耗する「有害な取引」になる可能性があります。
たとえ、理想的な顧客プロファイルを作成するのに時間を費したとしても、長期的に見れば報われる結果となるでしょう。なぜなら、マーケティング、営業、フォローアップを行う価値のある顧客とそうでない顧客を、組織が明確に把握できるからです。
理想的な顧客プロファイルを構築する方法
理想的な顧客プロファイルを構築する際に、検討すべきポイントがいくつかあります。まず、既存のオペレーションデータを確認し、カスタマーサクセスチーム、営業チーム、マーケティングチームからリーダーを集い、一緒に検討しましょう。
最も「強み」があるところは?
組織が提供するソリューションについて考えます。そのソリューションがどのような問題を解決するかを確認し、ターゲット層を明確にした上で、どのようにサポートを行うことができるかを絞り込みます。この時、できるだけ具体的に考えるのがベストです。例えば、会計ソフトウェアを販売している企業で現在のオペレーションレベルで考えた時に、ビジネスが数千人の従業員を抱える多国籍大企業向けなのか、また独立系スタートアップ向けなのか、どちらに適しているかを検討する必要があるでしょう。最も強みがあるところを明確にして下さい。
最も良い顧客は誰?
理想的な顧客プロファイルを特定する最もダイレクトな方法は、最も理想的な既存の顧客を考えることに尽きます。最も成功しているアカウントはどれですか?最も良い顧客は誰ですか?顧客生涯価値が最も高く、喜んでリピート客となってくれているのは誰ですか?複数の例を考察すると、下記に挙げる項目に共通点があることが多いです。
- 地理的要因と制約
- 業界
- 従業員数
- 顧客基盤の規模
- 売上高と予算
- 既存のテクノロジースタック
互いに似ている部分——また少なくとも最も価値の高い顧客に当てはまる特徴——が、理想的な顧客プロファイルの基盤となります。
カスタマーフィードバックの内容が示すものは?
最後にNPS、CSAT、定性的な顧客データなどの指標を分析し、直感を確認しましょう。つまり、組織にとって最も価値の高い顧客が、実際に企業と同じように考えているかどうかを確認することが重要です。
この際、ブランド追跡やカスタマー管理ツールは使うと作業がスムーズに進みます。たとえばQualtrics の Experience Management Platform™ は、あらゆるタッチポイントでのフィードバックを追跡し、集約して分析してくれるため、似た属性を持つ主要なセグメント(層)も発見できます。特定のセグメントが他のセグメントよりも、ブランドに対して強い関心を持っているかどうかを知ることができれば、理想的な顧客プロファイルを作成する上でも役立つでしょう。
もちろん、理想的な顧客プロファイルの基盤として活用できる、まさに歴史的な顧客事例がオペレーションや販売データと一致するのがベストです。
もしあなたが新規のビジネスであれば?
新規参入の段階では、最高の顧客について考えることは不可能です。その場合、競合他社調査を実施し、最も近い競合が最も効果的に対応している顧客について学ぶことで、より適切な回答を得ることができます。
全く新しいビジネスの場合は?
ご承知の通り、新規参入の段階では、最も価値が高く、最高の顧客について考えることは不可能です。その場合、競合他社調査を実施し、最も近い競合が最も効果的に対応している顧客について学ぶのが一番です。そうすることで、より適切な回答を得ることができます。
理想的な顧客プロファイル(ICP)テンプレート
ICPのフォーマットに絶対的な正解はありません。最も重要なのは、より賢明な意思決定を行うために最も役立つ質問と回答を導き出すことです。具体性を重視することをおすすめしますが、過剰に詳細を追求する必要はありません。
最も重要なのは、このプロセスを定期的に見直し、毎回同じテンプレートを使用することです。ビジネスが成長するにつれ、魅力的な顧客のタイプは変化するため、定期的な更新が重要です。
以上を踏まえて、以下に理想的な顧客プロファイルのテンプレートとワークシートの基盤として使用できる質問リストを掲載します:
理想の顧客プロファイルに関する質問リスト
- 彼らはどの業界で事業を展開していますか?
- 本社はどの地域にあり、事業を展開している地域はどこですか?
- 法的、または契約上の制限を定めていますか?
- 従業員数は何人ですか?
- 顧客基盤の規模はどのくらいですか?
- 年間売上高はいくらですか?
- 貴社のソリューションに対する年間予算はいくらですか?
- 現在の技術利用状況はどのようですか?
- 最大の課題は何ですか?
- そのソリューションはどのように役立ちますか?
- そのソリューションを必要とするスピードはどのくらいですか?
- ブランド目標は何ですか?
- 一時的なソリューションか継続的なサポートが必要ですか?
- 30字以内で説明してください。
ICPの決定に向けて、上記の質問に回答したい方は、当社の無料ワークシートテンプレートをご利用いただけます。
ぜひ、理想の顧客を半架空のキャラクターとして描き、その課題や規模、価値観を説明する資料を1ページで作成してみましょう。
理想の顧客像を示すことで、追いかける価値のない顧客の特性も明確になるのがポイントです。新規ビジネスを評価する際の有用な出発点ともなりますのでご活用下さい。