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カスタマーエクスペリエンス

B2Bビジネスでの
カスタマーエクスペリエンスの考え方

はじめに

顧客の声を聞き、それに基づいてより良い製品やサービスを提供できるように改善活動を行なっていくカスタマー エクスペリエンス (CX) の取り組みは、個人の顧客を対象とするB2Cビジネスでは実践をしている企業も増えてきていますが、企業を対象とするB2Bビジネスでは、まだその取り組みを行なっている企業はそれほど多くない現状があります。B2Bビジネスでは、取引先企業ごとに営業担当がいて、定期的なコミュニケーションをとっているので、顧客の求めていることは理解できていると考えがちですが、どうしても属人的になり世の中の変化が激しい昨今では、B2Bビジネスでの顧客理解も複雑化してきている状況にあります。

このブログでは、B2BビジネスでのCXの活動の特徴、どのようなメリットがあるのか、どのように取り組みを始めれば良いのか、必要なシステムなどについてまとめてみたいと思います。

 

カスタマーエクスペリエンスを考えるときのB2BとB2Cの違いとは?

B2BビジネスのCXを考えるときには、B2Cビジネスとの違いにについて整理をしておくとよいと思います。

まず、B2Cビジネスでは商品の購入の意思決定を行うときには、1人の個人もしくは多くても家族などの少人数の人が、ある商品を買う・買わないなどの決定をします。これに対して、B2Bビジネスでは会社内で役職や役割の異なる複数の人が関わって意思決定が行われます。関わる人数が多くなるため、意思決定プロセスが複雑になり、意思決定のための時間も長くなります。

次に、顧客の数と顧客単価の違いがあります。B2Cビジネスの場合は、ビジネスの種類にもよりますが対象となる顧客の数は多く、B2Bビジネスの場合は顧客数はそれほど多くはなりません。それに対して、B2Cビジネスではそれぞれの顧客単価は比較的安く、B2Bビジネスでは顧客ごとの単価が非常に高くなることもあります。

上記のようなポイントを押さえておくと、B2BでのCXの活動で重要な点が見えてきます。CXの活動では、顧客の声を聞いて理解するということが重要になりますが、この対象となる顧客は、取引先企業の現場の担当者1人だけではなく、取引の意思決定を行う際に関連する人、意思決定には関係しないが実際に自社の製品を利用する人などの様々な人の声を聞く必要があります。このように異なる立場の人からの声を聞くことができていないと、顧客の現場の担当者は何も不満がなくて自社の担当営業が良好な関係を築けていても、顧客企業の部長や役員から見ると不満があり、顧客の上層部に上手にアプローチした競合他社にビジネスをとられてしまったり、自社の製品やサービスを使っている顧客企業の利用ユーザに不満があり、その不満が顧客の意思決定者の耳に届き印象が悪くなるというようなことが起こったりします。

このように、B2BでのCXの活動は、自社の担当営業がいつも取引先でやりとりをしている担当者だけではなく、取引先企業の様々な役職、役割の方々の声を聞くことが非常に重要となります。

次に、対象となる顧客の数と単価についての関係性について考えてみたいと思います。例えば、顧客あたりの単価が数百円で、1日の購入顧客の数が数千人とか数万人あるようなB2Cのビジネスを考えてみてください。このようなB2CビジネスのCXの活動は、個別のお客さんの声を一人ずつ聞いて対応よりのは難しく、全社的な改善活動を行いながら、地域や店舗単位などある程度まとまった単位での改善活動を進めていくことになります。

それに対して、B2Bビジネスの場合はお客の数がそれほど多くなく、さらにそれぞれの顧客に対して担当営業やカスタマーサクセスなどの個々の顧客をフォローアップするためのリソースが存在することが通常です。そして、B2Bビジネスでは自社の顧客あたりの売り上げ単価が、数百万円、数千万円などと大きな金額となり、1つのビジネスを失ったり獲得したりしたときの売り上げインパクトが大きくなります。そのため、B2BのCXの活動においては、改善活動を全社的に行うことも大事ではありますが、個別の企業顧客をフォローアップすることの方が重要で、短期的に大きな成果を上げることもできるようになります。

顧客からの不満や要望があったときにいち早くそれを担当の営業やカスタマーサクセスが把握をして、対応することによって、このような個別対応がなければ競合への乗り換えやビジネスの継続がなくなってしまうようなリスクを防ぎ、顧客への個別の要望に応えることで逆に新たなビジネスにつなげるといったようなことも可能となります。

 

B2BビジネスでのCXの活動にはどんなメリットがあるのか?

上記のようなB2Bビジネスでの特徴に対応したCXの試みに加えて、全体的なB2BのCX活動を行うことによって、以下のような効果を上げることができます。

  1. 顧客の継続率を高める

解約や取引の減少といったリスクをいち早く察知し、アラートを送ることによって個別の企業へのフォローアップを行い関係を改善する

  1. 1社の顧客からの売り上げを増大させる

クロスセルやアップセルの可能性を見つけ、新しいビジネスを早期に創出する

  1. サポートコストの減少

顧客が自社製品を利用する際の問題を早期に解決することによって、サポートコストを減少させる

  1. 営業活動の効率化

顧客の求めることを理解することによって、新規の営業活動での戦略を効率化する。

  1. 口コミやブランド構築

推奨者となってくれる顧客が増大することによる口コミ効果やブランドイメージの向上

 

B2BのCX活動のための仕組み作り

B2Bビジネスで顧客の声を聞き、それを理解し、必要なアクションにつなげていくためには、それを日々の業務として実行し続けていくことができる仕組みづくりが必要となります。

顧客の声を聞くための仕組みとして、最も簡単に実行できる手段として、アンケートによる調査があります。アンケートを使って顧客からの声を集める方法には、大きく分けて2つの方法があります。1つは、リレーションシップ調査と呼ばれるような1年もしくは半年に1回程度の定期的なタイミングにおいて、対象となる全ての顧客に対してアンケートを行いその結果を分析すると言うものです。これにより、定期的に自社と顧客との関係性を全体的に理解して、その変化を観測し、競合企業との比較をし、長期的な戦略を立案することができるようになります。競合企業についての分析調査については、こちらも参考にしてください。

これに加えて、もう一つの重要な方法として、トランザクション調査と呼ばれるものがあります。トランザクション調査では、それぞれの顧客の自社との取引の中でのカスタマージャーニーのステージ、つまり、商談・契約・導入支援・利用・契約更新・サポートサービスなどのそれぞれのタイミングで適切な担当者に対してその状況にあった設問を行います。例えば、製品を購入した直後の導入支援プロジェクトが完了したときに、プロジェクトが期待通りに遂行されたについて聞いたり、その後の製品の利用段階で、契約時に期待していたような効果が顧客のビジネスの現場で発揮できているかについて聞くことができるようになります。ここでのポイントは、それぞれのカスタマージャーニーのステージごとに顧客に聞くアンケートの設問は異なるものとなり、さらにアンケートの対象者も異なると言うことです。導入支援プロジェクトのアンケートでは、顧客の技術担当者へのアンケートかもしれませんが、その後の利用フェーズでのアンケートは製品を使って実際にビジネスをする担当者であったりします。

このような仕組みを構築するためには、一般的には企業の社内にあるCRMなどの顧客情報や取引情報を管理をしているシステムとの連携が必要となります。これにより、顧客との取引情報のステータスの変化に応じて、自動的に適切な対象者に対して適切な内容のアンケートを送信するといったことが可能となります。

例えば、クアルトリクスではセールスフォースのCRMとの自動連携を行うことができたり、外部のデータベースとAPIやCSVファイルによるデータ連携を簡単に行う仕組みを持っておりますので、このような自動化の仕組みを短期間に構築することができます。クアルトリクスとセールスフォースとの連携については、こちらのブログを参照してください。

このような顧客情報との自動連携を行うことによって、アンケートの送信を自動化したり、アンケート結果の分析をするときにCRMの中で持っている顧客や売り上げ情報を使ってより詳細な結果分析をすることも可能になります。一般的に、このような分析をするときには、企業の規模、業種、地域、利用製品、自社との取引期間、売り上げ金額、アンケート回答者の役割や役職、自社内の担当部署や担当者といった情報とアンケートで得られた回答結果を組み合わせて分析することができます。

また、自社内の担当部署や担当者の情報を利用して、顧客のアンケート回答がネガティブであったり、対応が必要な回答であった場合に、アンケート回答直後に担当部署や担当者にアラートを送ることができるようになります。

このようなアラートは、メールやSlackなどのコミニケーションチャネルを使って行うこともできますが、単にアラートの通知をしただけではそれぞれの担当者が必要な顧客対応をしたかどうかを把握できないので、タスクとして割り当てをして、ステータスを管理する必要が出てきます。

クアルトリクスでは、このような個別対応のタスクを各個人やチームに割り当てて、その対応状況のステータスを管理することができるようになっています。もし、このようなタスク管理の仕組みとして、セールスフォース、ServiceNow、Zendeskのような製品を既に利用しているのであれば、クアルトリクスとの連携機能を使って簡単に接続することができるようになっています。

 

最後に

B2BのCX活動は、B2Cと比べて異なる考慮ポイントがあり、自社のビジネスに合わせた設計をしていく必要があります。顧客の声を聞くタイミングやその結果を社内のどのような関係者にフィードバックするかなどのプロセスを考えて設計をしていきましょう。

 

 

クアルトリクスで
カスタマーエクスペリエンス(CX)を改善

トピック CX

中嶋 祐一

クアルトリクス合同会社
ソリューションエンジニア ディレクター

Webテクノロジー企業や外資系スタートアップ企業を中⼼とした数々の新規企業及びサービスの⽴上げを成功に導く。
クアルトリクス⼊社前は、デジタル広告・マーケティングテクノロジーベンダーで、B2CおよびB2Bビジネス企業のデジタルマーケティング戦略の提案、導⼊、運⽤⽀援を行う。2018年4⽉にクアルトリクス⽇本の初の技術系メンバーとして参加後、シニア・テクニカル・コンサルタントとしてCXプログラムの導⼊⽀援を行う。

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