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従業員エクスペリエンス (EX)

調査の実施時期を決めるための検討項目

(「EXあるあるシリーズ」その2)

はじめに

前回のブログでは、調査実施向けての意思決定について書きましたが、今回はその次によく議論となる「いつ、調査を実施するか」の考え方について論じてみたいと思います。一言で「いつ」といっても、実際には「タイミング(時期)」と「頻度」の要素が関わってくることも、念頭に置いておく必要があります。

 

調査結果を何に活用するのか?

調査実施の「タイミング」にしても、「頻度」にしても、決定にあたってまず考慮すべき要素は、調査目的や結果の活用方針です。例えば、新年度からの組織としてのビジネスプランの中に、調査結果を踏まえたアクションを盛り込もうとするのであれば、新年度開始の1〜2ヶ月くらい前には調査結果が手元にないと手遅れになる、といった具合です。

一方で、あるタイミング以降でないと調査を実施する意味がないケースもあります。例えば、組織体制を大きく見直した結果、それがどのように従業員の業務遂行に効果を与えているかを確認するのであれば、組織改編の影響が定着するまで3ヶ月〜6ヶ月ぐらい様子をみて、従業員の意見を収集するような時間軸の設定が適切でしょう。同様に、新しい経営計画やバリューの浸透を図るときにも、導入から一定期間経過してからでないと、単に「まだ理解度が低い、浸透していない」というだけで終わってしまいます。

上記はどちらかといえば「タイミング」の話ですが、「頻度」に関しても、調査結果の活用方針をベースとして、どのくらいの期間で従業員の意識の「変化」を定点観測したいのかが決定の鍵となります。

 

課題に対するアクションの実行に
要する時間は?

次に調査実施時期の間隔を検討する上では、調査結果から特定された課題に対するアクションプランの実行が一巡するまでに要する時間を考えておく必要があります。せっかくアクションプランを策定し、実行しようとしたら、もう次回の調査が実施されるタイミングになっていて、アクションの実行が中途半端なまま従業員が回答し、前回と同じようなスコアが出てきたという話はよく聞かれます。

短期的なアクション、中長期的なアクションで一巡に必要とする時間は異なってきます。パルス調査のように、毎月、四半期、半年などの頻度で調査を実施するのであれば、クイックなアクションを前提としないと、何もしないまま次の調査がどんどん実施されていきます。一方、数年前まで特に海外では、年次調査における実施頻度は「18ヶ月」が適切というような議論がよくありました。調査自体は1年のインターバルで繰り返すとしても、アクションを実行しその効果を定着させる期間として半年を足しておくという考え方でした。現在では、年次調査の空白期間にパルス調査を実施してフォローアップし、調査のみをやりっ放しにならないように工夫する企業が増えています。いずれにせよ、調査結果の活用方針にもよりますが、アクションを全く取らないまま調査を繰り返すだけでは、大規模な組織ほど、驚くほど安定的な調査結果が並ぶことになるのはほぼ間違いありません(それをみて、「調査の一貫性、信頼性を確認できた」とおっしゃった企業様もいらっしゃいましたが・・・)。

 

自社にとって調査を実施しやすい時期は?

そのほかの検討事項として、自社の年間のイベントやビジネス上の繁忙期を考慮し、調査対象となる従業員はもちろん、調査運営チームにとっても負担とならない時期を選定した方が良いでしょう。人事部門の立場から消去法で時期を選定するならば、新年度が4月にスタートする企業であれば、新入社員の入社、人事異動・組織変更が発生する4月から連休を含む5月前半、賞与支給や夏休みにかかる7〜8月、上期の決算月である9月、下期の開始月である10月、年末の締めで忙しくなる12月から年明けの1月前半、年度末の3月などは、調査を避けるための「言い訳」が比較的受け入れやすい月であるように思います。残ったのは、5月後半から6月、11月、2月あたりで、多くの企業にとっては、比較的静かに通常の業務が行われる可能性が高く、調査も実施しやすい月といえます。

ただし、上記でも明らかですが、「忙しいから」といって先送りにしてばかりいると、本来従業員の声を聞くべきタイミング、すなわち彼らの行動を左右するような体験に対応する声を聞き逃すことになりかねません。実際、会社によっては、「赤字の決算発表があるから」とか、「戦略の大幅変更があって従業員が動揺しているから」といった理由で、定期的な調査をその年は中止するという決定を下すようなこともあります。しかし、本質的には、敢えてそのような状況の中で従業員の想いの変化を測ることにこそ意義があります。会社が本気で従業員のことを考え、対策を打とうとしているというメッセージを伝える上でも、安易に定期的な調査をスキップすることはあまり好ましくないと考えられます。

 

結局、どの時期に、
どのぐらいの頻度で実施すべきか?

これまでの議論を総括しますと、以下のようなポイントを検討して、調査実施時期・頻度を固めるのが適切と考えられます。

 

  • 調査結果をどう活用するか、いつのタイミングで必要とするか?
  • 調査結果を手にしてから、アクションプランを策定・実行するのにどのくらいの時間を要するか?
  • 調査テーマに対する従業員の意識は、どのくらいの期間で変化すると考えるか?
  • 業務の繁忙期を考慮した際、より多くの従業員が無理せず調査に参加できる時期はいつか?
  • 従業員の異動、組織改編など、結果の分析やアクションの実行に影響を与えうるイベントが発生するのはいつか?

 

最終的にはやはり調査結果をどう活用するのかという、元々の調査目的を実現させるために適したタイミングは自ずと決まってくるように思います。調査実施のタイミングさえ決めれば、そこから逆算した準備スケジュール、結果が出てからのスケジュールも決まります。なるべく負担のない時期を選定することは理想である一方、従業員が抱えている課題は徐々に変化していくことから、何もしないまま傍観し、時期を逸するようなことがないよう注意したいものです。

 

 

クアルトリクスで
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市川 幹人

クアルトリクス合同会社
EX ソリューション ストラテジー ディレクター

人事・組織コンサルティング会社の従業員意識調査部門のリーダーとして、様々な業界のリーディング企業に対し、従業員の声を収集、分析、アクションプランニングまでの組織改革活動のサポートに豊富な経験。クアルトリクスにおいては、長年のリサーチ、コンサルティングの実績をベースに、従業員エクスペリエンス(EX)分野の活動の支援、社外への情報発信などを担当。

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