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定性調査の究極ガイド(進め方と事例付き)

この記事は 9分 で読めます
すでに定性調査を利用していて、あらためて自分の理解度を確認したい方、あるいはこれから始める方におすすめです。早速、定性調査の進め方と、その効果を最大にするための活用方法について学びましょう。

定性調査とは?

定性調査とは、数値以外のデータを収集する調査方法です。一般的に、定量調査が提供する情報(以下で取り上げます)を上回るもので、その根底にある理由や意見、動機を理解するために使われます。

定性調査は、参加者の考えや感情、理由や動機、そして価値観に焦点を当て、人々がなぜそのように行動するのかを理解するために使われます。

言ってみれば、定性調査は、自然環境の中で自然に発生する社会的事象に注目する「自然主義的研究」と言えます。定性研究者は社会調査における自分たちの役割を、データを収集するための「手段」と表現します。

実際、データが数値以外の形で表現されている一次資料や二次資料を調べた結果、定性の特性を発見したのが今の定性研究者なのです。また、一連の調査には、引用や記号、画像や証言のような定性的調査データの収集が含まれます。

定性調査のデータは、事実ではないものの、研究者に主観的な情報を与えてくれます。ここでは、定性的な情報から結論を解釈することができるので、貴重な文脈を得られる点では役に立つ調査と言えます。

また、定性調査は一般的に説明ができるものであると解釈されているので、社会調査でよく用いられます。

たとえば、医療サービス研究や臨床研究プロジェクトに適した研究手法とも言えます。

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定量調査と定性調査

定性調査と定量調査の方法を比較するには、まず定量調査とは何かを調べ、その後に定性調査を理解し、その上で両者の違いを把握するのがベストです。

定量調査

定量調査とは、数値や数値データに変換できる定量的なデータを収集する調査方法で、数値化、比較、分析が容易にできるのが特徴です。

定量調査の方法は、データが数値で表されている一次資料や二次資料を使って行われます。例としては、クローズドな質問式の世論調査結果、統計、国勢調査情報や人口統計データなどがあります。

定量調査データは、研究者が特定の瞬間を理解したり、傾向やパターンを見つけるために使われることが多く、時系列にデータをセットとしてまとめたい場合に採用されます。

定量調査と定性調査:方法論の違い

定性調査が数値以外の情報を提供するデータと定義されるのに対し、定量調査は数値データに焦点を当てるのが特徴です。

一般的に何かを測定したり、仮説を検証したい場合は、定量調査法を採用し、一方、アイデアや思考、意味を探求したい場合は、定性調査法を使います。

定性調査は、製品を適切に定義したり、宣伝/販売するのに役立ちますが、結果として、常に繰り返せるものとは限らないため、この調査法だけに頼るのはおすすめできません。定性調査は方向性を示すものであり、実証的なものではないからです。

定量調査と定性調査

最も優れた統計分析研究では、経験的データと人間の体験(定量調査と定性調査)を組み合わせて使用することで、ストーリー性のある、より深い情報を迅速に得られることがわかっています。

定性的な手法と定量的な手法の両方が使用されない場合、おそらく定性研究者は、どちらか一つだけを使用している限り、答えは見つからない…そんなことに気づくはずです。

例えば、ある小売企業が、靴の新商品がターゲット市場でうまくいくかどうかを知りたいとします:

  • 定性調査の方法は、ターゲット顧客のサンプルを使って、彼らが購入する可能性があるかないかを主観的な理由を提供することができます。
  • 一方、靴関連商品の過去の顧客販売情報を定量調査すれば、販売実績や新商品群の将来的な見込みについて知ることができます。

定性調査の進め方

定性調査の進め方には5段階あります:

  1. 基礎理論: 基礎理論(Grounded Theory)とは、定性研究者が定性調査データを収集し、関連性を形成するプロセス全体を通し「帰納法」をベースに、強い仮説を導き出すのが特徴です。定性調査の最初の質問の後に情報を掘り下げ、その情報をアイデアやコードにグループ分けしますが、最終的にはより大きなカテゴリーへと発展していきます。定性調査の終わりには、最初の質問だけでなく、証拠や探究に基づくまったく異なる仮説を立てることもあります。
  2. エスノグラフィー調査: エスノグラフィー調査(Ethnographic research)とは、活動や行動にある文化や背景を理解するために、研究者が参加者やグループの環境に入り込む調査です。もっともこの調査は、研究者がどれだけその環境に関与するかにもよるため、個人的な解釈によるバイアスや参加者によるバイアスの影響を受ける可能性があります。しかし、異なる「世界」を経験することを目的とするならば、画期的な方法だと言えます。
  3. アクションリサーチ:  アクションリサーチ(Action research)のプロセスでは、研究者と参加者の双方が協力して変化を起こしていきます。行動を起こした上で、調査を進め、結果を振り返るシンプルな構造を持ち合わせています。このリサーチでは研究者と参加者が共同作業を通じて結果を出していきますが、両グループがどのように相互作用し、どのように影響しあうかは、彼らの批判的な思考能力によって変わってきます。
  4. 現象学的研究: 現象学的研究(Phenomenological research)は 参加者の人生経験を記述し解釈することで、ある出来事や行動現象の意味を理解しようとする研究です。この定性研究プロセスでは、人々が過去の体験に基づいて、自分自身の構造化された現実(「現実の社会的構築」)を作り出していることがわかります。そのため、人々が意図的に自分の人生を生きている様子を見ることで、なぜそのように生きているのか?その背後にある経験的な意味を見ることができるのです。
  5. ナラティブリサーチ: ナラティブリサーチ(Narrative research)とは、研究者が人生の選択や出来事の背後にある意味を説明する方法として、参加者がどのように物語を語り、どのように自分の体験を説明するかを調べるものです。この定性研究は、いくつかのナラティブリサーチの例として、日記、会話による物語、自伝、手紙などを用いて行われます。語りは参加者の主観的なものであるため、参加者が記録したこと/話したことから、各参加者の見解を理解することができます。

定性研究のWebグラフ

定性調査でデータ収集するために、次のような体系的な調査手段を用いることができます:

個人の意見を聞くための調査

アンケートは、簡単に作成でき、配布もしやすい定性調査手法で、大人数の参加者から迅速に情報を収集するの時に使われます。従来は紙ベースで行われていた調査も、現在ではオンラインで行うことができるため、コストをかなり低く抑えることができるようになりました。

定性調査の質問は、より多くの情報を求める公開質問(オープンクエスチョン)になる傾向があり、自由なコメントができるようにテキストボックスが用意されています。

例としては以下のようなあります:

  • 参加者に一定期間、自分の気持ちや 考えを記録してもらうために、日記を 書いてもらったり、ビデオに撮ってもらったりする。
  • 家庭内使用テスト: バイヤー(消費者)が一定期間製品を使用し、その体験を報告する。

グループ コンセンサスのための調査(デルファイ調査)

デルファイ調査とは、参加者を集め、何回かに分けて質問を行った上でコンセンサスを得る方法です。デルファイ調査は、結果が調査をした側だけに送られる従来の調査とは異なり、参加者にも送られます。また、参加者は次の質問を提出する前に、すべての回答を振り返り、見直すことができます。

これは、研究者が参加者のグループ間でどのようなばらつきがあるかを見たり、コンセンサスがどのように得られたか?一連のプロセスを見れるのが特徴です。

例としては以下のようなものがあります。

  • 参加者に偽の陪審員として裁判に参加してもらい、数回にわたって事件の要所要所を耳にし、その上で意見がどのように変化するかを見ます。最終的に偽陪審員は、裁判中の被告人について全員一致の判決を下さなければなりません。
  • 参加者に、開発中の製品バージョンについてコメントを求め、変更を求めたフィードバックが採用されます。最後に、参加者はその製品が発売できるかどうかを決定しなければなりません。

半構造化インタビュー

インタビューは参加者とつながるための素晴らしい方法ですが、対面で行う場合は、調査チームが準備と実施に時間を必要とします。

また、地理的に異なる地域にいる参加者とのつながりに問題が生じる場合もあります。リサーチャーは、あらかじめ定義された自由形式の質問セットを使用しますが、参加者の回答に応じて、より場当たり的な質問をすることもできます。

例としては以下のようなものがあります:

  • 参加者と電話インタビューを行い、製品に関するフィードバックを確認します。会話中、リサーチャーは「台本にない」質問をし、より明確な説明を求めたり、インサイトを深めることができます。

フォーカスグループ

参加者はグループで集められ、特定のトピックについて話し合いをします。これは研究者主導で進められる対面型ディスカッションで、フォーカスグループの参加者同士が簡単にコミュニケーショ ンできるよう、アクセスしやすい場所で行われます。

フォーカスグループでは、研究者は事前に定義された自由形式の質問セットを使用しますが、参加者の答えに よって、よりアドホックな質問をすることもできます。

例としては、以下が挙げられます:

  • UXテスト(ユーザーが特定のタスクをどれだけ簡単に完了できるかを示すインターフェースのユーザビリティテスト)を参加者に行ってもらいます。

ダイレクトオブザベーション

これはエスノグラフィック研究の一種で、研究者が自然な環境で参加者の行動を観察するのが特徴です。これは、参加者が置かれている文化や文脈における行動を理解するのに適しています。

参加者の行動や反応を解釈しなければならないのは研究者であるため、この定性調査方法は研究者のバイアスがかかりやすいです。また、研究者が発見したものは、研究者自身の信念、価値観、推論によって影響を受ける可能性があります。これがダイレクトオブザベーション(直接観察)です。

例えば、以下のようなものがあります:

  • バイヤー(消費者)のいる場所に身を置き、その社会の価値観や規範に照らして製品がどのように機能するかを理解します。

定性データの種類とカテゴリータイプ

定性データの種類とカテゴリータイプ

多くの場合、以下のような定性調査データの種類を用いて情報を提供します:

  • 引用
  • シンボル
  • 画像
  • 証言
  • スピーチ

情報の文脈分析を通じて、参加者をカテゴリータイプに割り当てることができます:

  • 宗教
  • 性別
  • 社会階級
  • 政治的傾向
  • 製品を購入する可能性が最も高い
  • 希望するトレーニング学習スタイル

定性調査のメリット

  • 複雑な状況に有効: 複雑な問題を扱う場合、定性調査だけでも素晴らしい結果を得ることができます。しかし、定量的な事実を用い、背景となる文脈を提供すれば、トピックについてより豊かで幅広い理解を得ることができます。このような場合、定量的な調査だけでは不十分なことがあります。
  • 「なぜ」の窓: 定性調査では、参加者の回答の背後にある深い意味を知ることができます。数値データの分析では必ずしも見えてこない、より大きな「理由」を明らかにできます。
  • 顧客体験の向上に役立つ: 民間の医療サービスのように顧客が重要なサービス産業では、健康調査研究を通じて顧客体験に関する情報を得ることで、サービスを改善できる領域を示すことができます。

定性調査のデメリット

  • 適切な質問をする必要がある: 定性調査を行うには、行動の背後にある根本的な考え方を明らかにするために、適切な質問とは何か?について考える必要があります。さらに踏み込んだ質問をする場合、フォーカスグループや対面インタビューの方が適していることもあります。
  • 結果への解釈: 定性調査データは文字や音声で表現され、ニュアンスも異なることが多いため、数値以外の形式で得られるデータ結果の解釈が難しい場合があります。そのため、仮説を受け入れられるかどうかを判断するのが難しくなります。
  • バイアスがかかりやすい: 確証バイアス、研究者バイアス、観察バイアスといったバイアスに左右される可能性があるため、定性調査のコントロールレベルは低くなります。これは、定性調査のデータ結果に対する妥当性や真実性に影響を与える可能性があります。

定性調査をビジネスに役立てるには?

定性手法は、様々な方法で製品やマーケティングの改善に役立ちます:

  • ブランドに対する感情的なつながりを理解する
  • 購入への障害を特定する
  • メッセージに対する疑問や混乱を明らかにする
  • 不足している製品機能を見つける
  • ウェブサイト、アプリ、チャットボット体験のユーザビリティを改善する
  • 消費者があなたの製品についてどのように話しているかを知る
  • 購入者が競合他社のブランドと御社のブランドをどのように比較しているかを知る
  • 組織の従業員がベンダーをどのように評価し、選択しているかを知る

優れた定性調査を実施するための6つのステップ

定性調査を用いてデータの背後にある意味を理解できれば、定性調査から利益を得ることができます。そのためのステップを下記で挙げてみます:

  • 問題や関心のある分野を定義する: 何が起こっているのか?それは頻繁に起こっているのか?観察しているデータの種類を特定します。
  • 仮説を立てる: 定性調査のデータタイプについて、何がその状況を引き起こしているのか自問します。
  • 定性調査の計画を立てる: 調査、フォーカスグループ、インタビューなどの構造化された定性調査手段を用いて、仮説を検証する質問をします。
  • データ収集: 定性調査データを収集し、データタイプが何を物語っているかを理解します。長期間にわたって様々なタイプのデータを収集すれば、それを分析し、態度や言語パターンの変化について研究することができます。
  • データ分析: あなたの情報は仮説が裏付けされていますか?(結果が改善されるかどうかを確認するためにも、他の変数で定性調査をやり直す必要があるかもしれません。)
  • 定性調査データを効果的にプレゼンテーションする: 他の人が調査結果を理解できるように、結果を明確かつ簡潔に伝えるようにします。

定性データ分析

管理すべき分析プラットフォームが複数あり、比較すべき主観的なデータソースが多数ある場合、定性調査の評価は困難です。

Qualtrics iQが提供するText iQは、強力な機械学習とネイティブ言語処理により、テキストのパターンや傾向を発見することができます。

その他、以下のような機能もあります:

  • センチメント分析 – 定性調査のテキスト回答における基本的なセンチメント(肯定的、中立的、否定的など)を特定するための手法です。
  • トピックの検出/分類 – このテクニックは、ビジネスや業界に関連する可能性のある類似のテーマをグループ化またはバケツ化することです(例:「食品の品質」、「スタッフの効率性」、「製品入手の可能性」)

製品の活用で、定性調査プロセスをどのように強化・簡素化できる?

最近のデータ偏重型市場においても、定性データはまだまだ価値があります。もし定性調査が製品やマーケティング戦略を決定する上で重要な役割を果たさなければ、その決定は効果的とは言えません。

Qualtrics XMプラットフォームは、オールインワンで統合されたソリューションを提供し、定性調査の実施を全面的に支援します。アンケートの作成、データ収集からテキスト分析、データレポーティングまで、社内のすべてのチームが主観的・カテゴリー的データから貴重な情報を得ることができます。

定性調査の方法は、テンプレートや高度な調査設計によって対応します。手動でデータを収集し、表計算プログラムでデータ分析を行うこともできますが、このソリューションでは定性調査のプロセスを自動化できるため、時間と管理作業を節約できます。

また、計算技術を使用することで、人為的なミスを避けることができ、参加者の結果がリアルタイムで分析に反映されます。

当社の主要ツールであるText IQ™Driver IQ™は、主観的データとカテゴリーデータを簡単かつシンプルに分析し、トピック、感情、頻度に基づいて、重要な発見をハイライトしてくれます。利用するかしないかの選択はあなた次第です!

無料eBook :定性調査デザインハンドブック