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カスタマーエクスペリエンス (CX)

ベンチマークを賢く活用する 5 つのヒント

ベンチマークを賢く活用する 5 つのヒント

ランキング・順位・比較サイト…と、「他社 (他者) と比較して、自社 (自分) はどうなのか?」は、立場を問わず、気になるポイントですね。

自社 (自分) を何か別のものと比較することで、理解しやすいことはあります。例えば、「他社は商品ラインアップが100種類あるが、自社は50種類ある」「他社製品と自社製品に搭載されている機能を比較し、足りない機能や性能を理解する」などです。このように比較すると不足している部分は明確になります。しかし、次のステップは「他社と同じ機能を追加すること」だけでしょうか?

今回の記事では、他社と自社を比較する際に便利な「ベンチマーク」を利用する際に覚えておきたい 5 つのポイントについてご紹介します。

1. 比較しすぎ注意! 顧客体験に注目し、改善ポイントを探すこと

他社と比較するために情報取集し、分析を行っている間は、お客さまから見ると何も変わっていません。改善アクションを実行する時に、経営層は他社の状況を知ることで安心して承認することができるかもしれません。しかし、自社の調査結果であれ、外部ベンチマークからの情報であれ、「過去の延長線上にあるから安心」とするために利用するのではなく、「未来をどう切り開くかの糧に利用する」と、思考を切り替えてください。改善機会を探し、実行することが重要! 比較しすぎにご注意ください。

2. お客さまに喜んでもらうことが目的! 競合他社より優位になることが目的ではない

CX (顧客体験) を向上させることを目的と設定していても、CX が向上したかを測定する指標にベンチマークを利用してしまうと、真の顧客本意経営にはなっていません。他社と比較して「良い」=お客さまは喜んでいるはずだ、というのはレガシー CX の考え方です。喜ばせたいお客さまに、期待以上の体験を提供できているのかは、お客さまの声から理解する必要があります。

3. 同一調査内で比較はOK! 違う調査結果を混ぜた比較は危険

調査はサンプル選定、フィードバック取得方法、設問設計、分析方法など、その都度定義を決めてから実施します。これは、異なる調査レポートやネットで取得した結果は、異なる定義の基に集計されているということです。つまり、単純に比較することはできません。特に回答者の属性は、結果に非常に大きな影響を与えます。

調査定義を定めた同一調査機関の結果同士であれば、比較は不可能ではありません。しかし、整合性をとるための調整に時間を費やすことはお勧めしません。繰り返しとなりますが、定義を揃えて比較する間は、お客さまから見ると何も変わっていません。

4. 重要なドライバーに注目! 業界ベンチマークも参照

他社ベンチマークの調査結果がある場合、そのベンチマークを基に目標値設定をしがちです。しかし、目標を設定する際は、会社全体のパフォーマンスに影響があるキードライバー(KPI)に設定することをお勧めします。

ご参考に、XM Institute が推奨している 5 つのステップを紹介します。
1) 軸となるCXの測定値を決定する
2) 実現可能な目標を設定する
3) 軸となるCX測定値に影響をするキードライバーを見つける
4) キードライバーの測定方法を設定する
5)主となるCX測定値とキードライバーを社内へ連携し、CX 向上に向けてアクション実施を推進する
(英文参考: "Five Steps for Building a Strong CX Metrics Program)

5. 自社内にあるインサイトを活用! 外部調査は参考程度に

外部ベンチマーク調査では、会社がどの程度パフォーマンスできているかをマクロ レベルで確認できます。しかし、得られる情報は会社全体の印象に留まるケースが多く、自社特有のトピックについて掘り下げられるほどのインサイトは得られません。例えばターゲットとしている顧客セグメントの真のニーズを探る、タッチポイント毎にどのように感じているのかなど、個別の事象まではベンチマーク調査で辿り着けないのです。

ここで活かしてほしいのは、他社ベンチマーク調査ではなく、自社内の各タッチポイントにおいて感情データ (Xデータ) と業務データ (Oデータ) を結合させて見つけ出すインサイト です。

ベンチマークからパフォーマンスをある程度把握した後、X データと O データを融合させ、インサイトが得て、お客さまの心に響く行動を起こしていく。このように実践しながら知見を蓄えるほうが、はるかに CX が向上します。

おわりに

ベンチマークを賢く活用する 5 つのヒント はいかがでしたか? ベンチマーク (RNPS) も、自社のトランザクション調査 (TNPS) も、どちらも何をするための調査か目的をしっかりと決めて実施することで、非常に有用な情報を得ることができます。

その一方で、目的が定まっていないと設問が曖昧になったり、設問数が増えすぎたり、建設的なフィードバックを得られなかったり、という事態に陥りがちです。そのために分析しても一貫性がなく、どう次に行動したらよいのかが不明瞭なままとなってしまうキケンがあります。

松尾芭蕉は「静寂」を表す目的で、春には「古池や蛙飛び込む水の音」と、蛙が水に飛び込む音を比較しています。対して夏には「静けさや、岩に染み入る蝉の声」と表現方法を変え、その時その時に適した目線/方法で比較しています。

このように 目的をはっきりと定め、時代に添った方法で調査し・行動に移す ことで、お客さまに CX 向上を実感していただくことができ、ファンの増加につながります。

【参考ブログ】Five Recommendations for De-Emphasizing Benchmarking

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久崎 智子

クアルトリクス合同会社
CX ソリューション ストラテジー シニア ディレクター

お客様の声を起点とした業務改善・プロセス改善・システム開発プロジェクトのリード及びコーチングを金融サービス・製造業・ヘルスケア・エネルギー事業等多岐に渡り提供、20年以上の経験を有す。クアルトリクスでは経営戦略にエクスペリエンスマネジメント(XM)を導入するアドバイザリー支援を担当。
Certified XM Professional

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