顧客生涯価値(LTV)とは、顧客との関係する期間全体を通じて、その顧客がビジネスにもたらす総価値のことです。新規顧客の獲得よりも既存顧客の維持の方がコストがかからないため、既存顧客の価値を高めることが成長の原動力となります。LTV が重要な指標となるのはこのためです。
LTV を知ることは、企業が利益率を維持しながら新規顧客を獲得し、既存顧客を維持するための戦略を策定するのに役立ちます。
CX eBook – The Year of Agility:今、求められるアジャイル
LTVは、顧客ロイヤルティを測定するNPS(Net Promoter Score)や顧客満足度を測定するCSATとは異なり、ロイヤルティや満足度というやや無形の約束ではなく、収益と明確に結びついている点が特徴です。
eBook – もう「モノ」は売れない?なぜ顧客体験を “可視化”しないと生き残れないのか
なぜ顧客生涯価値(LTV)が
ビジネスにとって重要なのか?
LTV の算出には、過度に複雑な計算をする必要はありません。顧客との生涯の関係において、顧客が提供する価値に留意すればよいのです。カスタマー エクスペリエンス を理解し、すべての主要なタッチポイントにおけるフィードバックを測定することで、LTVの主要なドライバーを理解し始めることができます。
eBook – ジャーニー・セントリック思考の「5 つの質問」
LTVは、例えばテレビの有料契約や携帯電話の契約など、顧客と複数年にわたる関係がある場合に適しています。また、例えば、「最初の 1 年を過ぎたあたりから、購読の利用が少なくなり、支出が減少している」などの兆候を確認するなど、顧客減少の初期兆候を検知するのにも適しています。
顧客は、自社にどれだけのコストを
かけているのか?
LTVは、もう一つの重要な指標である顧客獲得コスト(CAC)と密接に関連しています。これは、広告、マーケティング、特別なオファーなど、新しい顧客を獲得するために投資する資金のことです。LTV は、CAC も考慮に入れて初めて意味を持つのです。
例えば、平均的なカフェの顧客のLTVが1,000 ドルで、その顧客を獲得するために(広告、マーケティング、クーポンなどで)1,000 ドル以上のコストがかかっている場合、そのカフェは獲得コストを削減しない限り、損失を出す可能性があります。もうひとつ注意しなければならないのは、その顧客がビジネスにとってどの程度のコストになるかということです。
この方程式を構成するもうひとつの要素は、サービス コストです。これはビジネスを行うためのコストの一部であり、製品やサービスを顧客の手元に届け、顧客が必要とすることを実現するために企業が行うすべての支出が含まれます。例えば、物流、物理的な場所での諸経費、コンタクト センターのコストなどです。
これを顧客別に分類すると、LTVの高い顧客と低い顧客のコストが同じかどうか、一部の顧客は他の顧客より高いかどうかなど、細かいレベルでこれらのコストを理解することができます。既存顧客への対応コストが高くなりすぎると、一見 LTV が高いように見えても赤字になる可能性があります。
顧客獲得が一過性の費用であるのとは異なり、顧客生涯を通じてサービス提供費用は変動する可能性があります。有料放送の話に戻ると、契約初年度のサービス提供コストは高いかもしれませんが、顧客との契約期間が長くなればなるほど、徐々に低下していきます。したがって、更新率が低下すると、平均提供コストが上昇し、収益性が低下する可能性があります。
これらの数字を長期にわたって理解し、並行して追跡することができれば、何が顧客の消費とロイヤルティを促進しているかだけでなく、それがビジネスの収益に何をもたらしているかを真に理解する唯一の方法となるのです。
クアルトリクスの CX ソリューションで実現する、顧客離反対策
顧客生涯価値(LTV)の
測定法とは?
10 年間、同じ生産者から40 ドルのクリスマスツリーを購入した場合、LTVは 400 ドルとなります – 非常に簡単です。しかし、より複雑な製品とビジネスモデルを持つ大企業では、LTVの計算はより複雑になります。
一部の企業では、チームの分離、不適切なシステム、ターゲット外のマーケティングなどの課題を理由に、LTVの測定を試みていません。
しかし、組織のあらゆる分野のデータが統合されると、LTVの算出が容易になります。
LTVは、以下の方法で測定することができます。
- 顧客が価値を生み出すタッチポイントの特定
- 記録を統合し、カスタマージャーニーを作成
- 各タッチポイントでの収益測定
- その顧客の生涯に渡って合算
顧客生涯価値(LTV)と
HV・PAV・RLV
顧客ライフタイム バリュー と関連する概念として知られているのが HV (ヒストリカル バリュー)・PAV (顧客獲得後ライフタイム バリュー)・RLV (残存ライフタイム バリュー) です。それぞれの概念については、こちらの記事 をご覧ください。
LTVを向上させる方法
顧客生涯価値(LTV)とは、顧客との良好な関係を持続的に形成することです。したがって、LTVを高めるには、顧客との関係を深めることが重要です。ここでは、そのための方法をご紹介します。
eBook – もう「モノ」は売れない?なぜ顧客体験を “可視化”しないと生き残れないのか
カスタマーエクスペリエンスへの投資
カスタマー エクスペリエンス (CX)とは、来店、コンタクトセンターへの問い合わせ、購入、製品の使用、さらには広告やソーシャルメディアへの露出など、顧客とブランドとの間のあらゆるつながりで構成されるものです。カスタマー エクスペリエンスの向上は、ビジネス全体の取り組みであり、多くの場合、カスタマー エクスペリエンス管理プログラムを使って対処されます。これは、モニタリング、リスニング、変更を行うプロセスであり、その積み重ねによって、顧客の感じ方や長期的なロイヤルティの傾向を持続的に改善することができます。
オンボーディング プロセスのシームレス化
カスタマー エクスペリエンスは、潜在顧客がブランドと出会った瞬間から始まりますが、企業はしばしば、顧客が購入の後にもケアを必要としていることを忘れてしまうことがあります。オンボーディング プロセスが顧客のニーズに最適化されていること、そして顧客の労力を最小限に抑えるために可能な限りシンプルで簡単であることを確認する必要があります。個別化と、お客様に提供する付加価値の伝達は、最優先事項であるべきです。
ロイヤルティ プログラムの開始
ロイヤルティ プログラムは、割引や特典を提供することで、リピーターを増やすためのインセンティブとなるものです。ポイントカードやアプリ、あるいは購入時に付与されるポイント システムなどの形態が考えられます。ロイヤルティ プログラムは顧客維持の特効薬ではありませんが、うまく計画・実行すれば大きな成果を上げることができます。
XM (エクスペリエンス管理) ウェビナー: XM LIVE JAPAN 2022 『顧客と従業員に「意味のある体験」を提供するには』
優良顧客の評価と報酬
カスタマー エクスペリエンス管理プログラム が稼働していれば、どの顧客が最も優れた LTV を持つ可能性が高いか、すでにある程度わかっているはずです。このような顧客は、ターゲット マーケティングや特別なオファーによって、ロイヤルティに感謝し、関係を強化することができます。例えば、配送料の無料化、ロイヤルティ プログラムの上位特典、限定品や先行発売の製品・サービス優先提供などが考えられます。
オムニチャネル対応の提供
顧客は、企業との関わり方について様々な好みを持っています。サポート チャネルもこの嗜好を反映する必要があります。「顧客が使いたいと思っているに違いない」と思うものを提供するのではなく、特定の顧客層がどのチャネルを好むかを調査してください。オムニチャネル サポートで素晴らしい顧客体験を提供するために、セルフサービスのオプションとフロントラインのインタラクションに関する顧客のフィードバックを入手してください。
ソーシャル メディアの力を忘れない
ソーシャル メディアは、顧客とのコミュニケーションだけでなく、顧客があなたのブランドやパブリックイメージに関する情報を収集する上でも、ますます重要性を増しています。もし顧客が、問い合わせや問題に対する企業のソーシャルメディア上の対応が迅速さを欠き、共感できるものでないと感じた場合、その顧客は企業のブランドに対して今後どのような印象を持つようになるのかに影響します。ソーシャルメディアへの言及や対応を、カスタマー エクスペリエンスの戦略に組み込むようにしてください。
不満を抱えた顧客とのループを閉じる
クローズド ループ フィードバックは、防げるはずの解約を減らし、不満のある顧客をファンに変える強力な方法です。このモデルでは、企業は不満や苦情を言う人に積極的に接触し、問題がエスカレートして顧客関係の崩壊につながる前に介入します。多くの場合、このような企業側の的を絞った努力と積極的な傾聴によって、顧客との関係は元々より強固なものになります。これは、カスタマー エクスペリエンス管理プログラムの貴重な延長線上に存在します
カスタマー エクスペリエンス(CX) //
2022 年度 グローバル消費者トレンド
今、顧客が企業に望むこと