リーダーシップ開発とは?
「リーダーシップ開発」とは、今現在のビジネスリーダーのスキルセットや能力、自信などを向上させ、次世代を担うリーダー育成を意図する学習ソリューション・プログラムです。
リーダーシップ開発産業は規模としても巨大です。実際、企業はそのソリューションに140億ドル以上を費やしており、関連テーマに関する書籍だけで7万冊を超える勢いで出版されています。
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リーダーシップの種類とは?
ポジション別リーダーシップ
従来、リーダーシップ・モデルは「権力」という概念に基づいた「ポジション・リーダーシップ」に焦点を当てていました。そのため、経営層のCEO、CMO、CFOが、その肩書きだけで大きな権力を握っていました。もっとも、立場だけのリーダーは存在するもので、彼らは往々にして、自分の権限を越えた意思決定をする傾向があり、こういったパフォーマンスや行動が部下や仕事仲間にどのような影響を与えるのか、見えていないことが多かったのです。また、一緒に働く仕事仲間に口出しをしたり、強制したりすることも往々にして見受けられ、その結果として「不幸な組織文化」が出来上がってしまうケースもあります。さらに、不満を抱えた従業員が増え、企業としても人材の維持を継続することができなくなることも多くあります。現実問題として、従業員エンゲージメントが低いと、顧客へのサービスが低下し、収益に影響することをご存じでしょうか?
パーソナル・リーダーシップ
一方、パーソナル・リーダーシップは、ポジション別リーダーシップに比べ、カリスマ性がはるかに高いのが特徴です。このリーダーは人々から尊敬され「この人についていきたい」と思わせる人物像であることが出発点となります。言ってみれば、パーソナル・リーダーは本物のリーダーであり、自分の役割や責任を超えて、組織の成長、従業員のモチベーションとエンゲージメント、ブランド・エクイティの達成といった「全体像」を見据えているのが特徴です。パーソナル・リーダーは、あらゆる責任を担うことができる上、常に人々から信頼され、必ずと言っていいほど戦略を実行します。また、チェンジ・マネジメントに優れてるため、ビジネスに真の変化をもたらす存在として重要な立ち位置にいます。
リーダーシップ開発の種類
それでは、ビジネスを前に進めるためには、どのようなタイプのリーダーを育成するべきなのでしょうか? 新しい考え方として注目されているのが、リーダーの育成はスプリント(短期間で時間に制約のあるトレーニングコース)ではなく、マラソン(継続的な学習)であるというものです。
この新しいアプローチこそ、「リーダーシップ開発の4つのE」です。
教育
まず一つ目は「教育」です。ビジネスとは言えば、やはり学問的な項目が不可欠ですが、製品や顧客サービス、マーケティングや事業運営の基本的な部分は、書籍や講義、オンラインコース、トレーニング、体験型学習、LinkedInラーニングといった従来の方法で学ぶことができます。リーダーシップ開発にとって教育は不可欠なものであり、リーダーとしても、仕事を成し遂げるための基本的なナレッジを習得することが大前提となります。
経験
2つ目は「経験」です。リーダーの育成に経験は欠かせません。実際に仕事を体験することに勝るものはなく、実地経験こそ、従業員エンゲージメントに必要な管理職としてのソフトスキルを身につける最適なトレーニングだと言えます。 担当したプロジェクトを通し、それが成功であっても、「もっとうまくやれたはず」と後悔したにしても、最終的には貴重な学びとなることは間違いありません。
実体験
3つ目は「実体験」です。コーチングやメンタリングは、人事部や人事リーダーがビジネスリーダーを指導し、育成するための2大メソッドです。ここでは、志の高いリーダーと一緒に働き、主な役割を担うリーダーを観察するチャンスを得ることが大切です。過酷で挑戦的なプロジェクトに参加して、深い淵に放り込まれることも、リーダーの実体験としてはもってこいの機会でしょう。
評価
リーダー4つのEの最後が「評価」です。これこそ、21世紀のリーダーシップ開発に最も重要なカギとなります。つまり、現在どのレベルにいて、どこを改善し、どう成長させる必要があるのか?これらを特定する必要があるのです。 リーダー自身が「専門性の呪縛」の中で停滞しないよう、Qualtrics Employee XMのような強力なパフォーマンス管理ツールを利用して、リーダーの潜在能力を最大限に引き出しましょう。これらツールの特徴は、パフォーマンス改善を強化できるようリアルタイムでAI主導のソリューションを提供してくれることです。360度評価が内蔵されているので、リーダーにおける目標を設定すれば、データ収集と結果測定を行ってくれます。その分析結果を利用すれば、透明性のある見識を共有することができます。ぜひ、評価をもとに、能力開発のギャップを埋めて、リーダー育成に活用しましょう。
企業カルチャーがリーダーのスキル向上にどのように役にたっているのか?
企業カルチャーとリーダーシップは密着に関わっています。信頼と調和、協力にあふれた職場環境を持続するためのコツをご紹介します。
企業カルチャーとは?
そもそも、企業カルチャーは共有された価値観、目標、倫理観、期待、信念によって生み出されます。どのような意思決定がなされ、どのような行動がはじき出され、結果的にどのようなビジネス成果がもたらされるか?これらを決定する原動力になるものです。一般的に、企業カルチャーは組織の創設者やリーダーが中心となって発信され、次第に従業員に浸透していきますが、これは従業員が1人の会社であろうと、1000人であろうと関係ありません。つまり、組織に根付く文化は職場環境を決定するということです。
カルチャートーン
組織文化はリーダーシップの基調となるものであり、リーダーが引っ張っていくものです。:
- 会社のビジョン、ミッション、コア・バリュー、目標を説明する
- 提唱する企業カルチャーの定義、モニタリング、指導、そして評価を行う
- 事業の成長と成功を促進する
- 職場における誠実さ、信頼、正直さ、多様性と包括性、公平性、公正さを育む
- 自らの倫理基準を常に維持する
帰属文化
「帰属意識」こそ、最高の企業カルチャーと言えます。従業員が会社に属していると感じることができれば、企業に大切にされていると感じるものです。リラックスした職場環境で、自分自身を表現し、ありのままの自分でいられることは、どれだけの価値があるでしょうか。むやみに判断されたり、拒否されたりすることがなければ、心理的に安心して物事に挑戦したり、アイデアを出したりすることができます。
クアルトリクスの調査によると、職場の帰属意識に大きな影響を与えるのは「リーダー」であることがわかっています。彼らは部下やチームを支え、組織文化にポジティブな影響を与えているのです。上司から信頼され、常に耳を傾けてもらえるような人は、自らが管理職になった時に、こうしたポジティブな影響力を周囲に放つことが多いです。このように、今現在の帰属文化は、優れた未来のリーダーを生み出すのに重要な役を果たしています。
リーダーシップ開発プログラムとは?
この記事を読んでいるあなたは、面接を重ねてやっと採用した人材が将来的にキャリアを伸ばし、組織内で成長することを望んでいるのではないでしょうか?効果的なリーダーシップ開発プログラム(LDP)では、従業員、特に指導的立場にいる人が、自分のキャリアを管理しながら、他の従業員を成功に導き、組織に貢献できるスキルを育成できるよう、わかりやすいガイダンスを提供しています。
21世紀のリーダーに対する期待は膨らむばかりです:
21世紀のリーダーに求められるものは何だと思いますか? | ||||
96% | 67% | 60% | 56% | 56% |
より複雑で曖昧な状況をリードする能力 | 離れた環境にいるメンバーでの管理能力 | 人間と機械を組み合わせた労働力を管理する能力 | 影響力を通してリードする能力 | 素早くリードする能力 |
デロイトが英国の回答者52人を対象に実施した
「組織には新たなリーダーシップのニーズがある」ことに関する調査 |
「満ち潮がすべての船を持ち上げる」のと同じように、リーダーシップ開発プログラムを作成することも、すべての人に利益をもたらしてくれます。優れたリーダーは、チームのエンゲージメントを高め、より良い業績を生み出します。つまり、リーダーシップ開発は従業員の経験にとって不可欠な要素なのです。
なぜリーダーの育成が重要なのか?
ある調査によれば、管理職の45%が「従業員に必要なスキルを身につけさせる自信がない」と感じていることがわかっています。さらに、従業員エンゲージメントの70%はマネジャーによって左右されるといいます。つまり、優れたマネジャーがいれば組織全体のエンゲージメントを高めることができ、そうでないマネジャーがいればエンゲージメントが低下するということになります。
優秀なリーダーを育てたいのであれば、長期的な事業発展のためにも、優秀な人材を「育てる」ことがカギとなります。つまり、効果的な開発プログラムを導入することこそ、良い投資につながるのです。
優れたリーダーシップ開発プログラムは、次のようなことに役立ちます:
- 離職率の軽減: 米国では、60%の従業員が直属の上司を嫌って離職、または離職を検討しています。
- 定着率の向上: 57%の従業員が、キャリアアップのために今の会社を辞める必要があると回答しています。効果的なリーダーシップ開発プログラムがあれば、離職の可能性は軽減されます。
- エンゲージメントの向上:世界全体では、85%の従業員が職場に不満を抱いており、米国では60%以上の従業員が「エンゲージメントがない」と回答しています。
- 継続的な自己成長の促進:実際、リーダーの3人に1人しか転職を希望していないのが現状です。彼らが会社で停滞しないようにするにはどうすればよいでしょうか?
- 継続性の確保:LDPは、職場での引継ぎや一般的なトレーニングにおいて、次世代のリーダーに会社の価値観を浸透させるのに役立ちます。
- 人材を惹きつける: リーダーの3人に1人しか積極的に求職活動をしていないのであれば、潜在的な人材プールはもっと小さくなります。ライバル企業が提供しないものをリーダーに提供することで、差別化を図る必要があります。
リーダーシップ開発プログラムに参加すべき人は?
結論から言えば、リーダーシップ開発プログラムに参加したいと思う人なら、誰でも参加すべきです。シェイクスピアが書いたように「偉大さを決して恐れてはならない。生まれながらにして偉大な人、努力をして偉業を成し遂げた人、偉業を押し付けられてそうなった人」など、リーダーになる人の経緯はさまざまだからです。そうとは言え、少なくとも組織のリーダーには、リーダー研修や能力開発へのシフトを望む野心があることが重要です。
プロフェッショナルとして、また個人として自分を成長させようとする意欲と野心を示す社員を考えてみましょう。彼らは、期待されているからという理由だけでキャリアアップの階段をひたすら上る社員よりも、より優れたビジネスリーダーとして開花する可能性が高いです。さらに、こういった社員は感情的知性をより多く発揮できるとも言われています。
そもそも「意欲」とは、「できる」文化と密接な関係にあり、こういった環境のある会社から生まれるポジティブな従業員体験は、従業員全体の幸福にも貢献してくれます。
また、リーダー育成のために自分自身を前面に出したいと考える自己啓発型の従業員の他、リーダーシップ能力を開発すべき従業員には次のようなタイプがあります:
- 現職の管理職や上級管理職:リーダーのスタイルを確立し、めまぐるしく変化するビジネス環境への対応
- 最近管理職に昇進した人:エグゼクティブの育成
- 新リーダーとしての責任が担うことになった人:事業拡大、合併、変化への対応、組織改編などで生まれた責任への順応
- 新たな課題に直面している人:スタッフ管理、変化スピードへの順応、コミュニケーションスキル、テクノロジーなどの修得
- マネージャーを志望する人:可能性へのチャレンジ
- キャリアの初期段階にある若手プロフェッショナル : リーダーとしてのスキルを身につけながらビジネスをより深く理解し、管理職へのステップアップを図る
ぜひ、優れたリーダーになろうとする「意欲」を忘れないで下さい。
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リーダーシップ開発プログラムを成功させるための要素
LDPは、その多くが組織のパフォーマンス向上につながらないと批判されていました。心に響かない画一的なトレーニングを継続する、経験ではなく説明ばかりを繰り返す、また、企業カルチャーや進捗測定のメソッドが欠けていることなど、すべてが困惑を招いています。こうなると、すぐにでも慣れ親しんだ古いやり方に戻ってしまい、やる気をなくしてしまうのが落ちです。
LDPが本当に機能するのは、全体的で全社的なアプローチだけです:
- 明確で刺激的な戦略と一環した価値観に沿ったリーダーシップチームを育成する。
- 上級管理職のアクションを含め、パフォーマンスや効果への障害となる要因について、率直な従業員評価データを収集する。
- フィードバック・データで明らかになった問題に対処するために、チームの組織、管理システム、慣行を再設計する。
- 従業員が仕事を通じて学び、斬新な振る舞いや行動を身に着けることができるように、コンサルティングやコーチングに徹した人事を構築する。
- 企業の変革課題を適切にサポートする企業研修プログラムを作成する。
効果的なリーダーシップ開発プログラムの立ち上げ方
1. 目標を設定し、自社の優先順位を理解する
この世の中に、2つとして同じ組織など存在しません。リーダーシップ開発プログラムを立ち上げる背景は、各企業によってそれぞれ異なります。つまり、リーダーシップ開発プログラムを設定する理由も組織によってさまざまだということになります:
- ところで、あなたの会社は「成長モード」ですか?もしそうなら、意欲と野心が旺盛で、会社を発展させるべく素晴らしいアイデアを持つリーダーが必要です。
- それとも、むしろ「コスト削減モード」ですか?もしそうなら、柔軟性があって臨機応変に対応でき、かつスムーズなコミュニケーションができるリーダーが必要です。
- 従業員の定着率やエンゲージメントに悩んでいませんか?今こそ、意欲を呼び起こし、効果的なコミュニケーションを図り、行動的な改革を推進できるリーダーが必要です!
自社の優先事項と、それがリーダーの能力やトレーニングのニーズとどのように合致しているかを理解しましょう。そうすれば、プログラム内容の中でニーズを絞ることができます。
2. リーダーシップの定義と主な特徴
自社の現在の優先課題を理解すれば、リーダーシップが組織にとってどのような役割を果たし、それが実際にどのようなものであるかを定義することができます。
往々にしてリーダーシップとは、チームメンバーの士気を高めたり、ブランドの認知度を高めたり、社員を成功に導くサポートをしたりと、企業にとって不可欠な役割を果たすリーダー像全体を示します。王道的なリーダーもいますし、たとえ役職はなくても影響力が大きい人材もいるでしょう。
ぜひ、リーダーやリーダー候補に「リーダーシップ」について簡単なアンケートを実施してみて下さい、会社を成功に導くために必要なリーダーの資質とは何なのかを尋ねてみましょう。
ここで重要なのは、現在のリーダーたちのグループが持つ専門知識だけに頼ってはいけないという点です。もし、全てを丸投げしてしまうと、同じ考えや行動、そして資質などが何度も循環することになり、組織の成長を妨げることになってしまいます。特に古い組織ではそれが顕著で、「これまでと同じように」物事を進め、「自分に合う」人材を採用する傾向があります。これは避けたいアクションです。
3. 現在のリーダーを基準に従って評価する
リーダーの資質について一通り合意したら、それをもとに現在のリーダーと比較してみましょう。
現在のリーダーを評価するには、360度評価を実施するのが一番です。360度人材開発プログラムを実施すれば、リーダーたちが同僚や直属の部下、上司に対してリーダーの資質を発揮しているかどうか、全体像を把握することができます。実際、フォーチュン500社の85%以上が360デベロップメントを採用しているのはそのためです。
しかしながら、リーダーがさらなる意欲を感じるためには、調査対象の上位10%、または業界の高いベンチマークとリーダースコアを比較するのが効果的です。平均スコアを見るだけでは、成功するためにそれほど努力しなくてもいい…と誤った錯覚を起こしてしまいます。
4. より幅広いリーダーシップ開発プログラムを計画し、実施する
リーダーシップ開発プログラムで最もポピュラーな考え方は「70対20対10の法則」で、過去30年の間変わっていません。
- 70%は実地学習で、やりがいのある課題や機会を与える。
- 20%:他のリーダーが専門知識をメンタリングで共有する。
- 10%:チャレンジと可能性に向けて挑戦し、トレーニングを行う。
ほとんどのビジネススクールが、このような組み合わせを軸にしていますが、実際、教室で椅子に座って指導法を学ぶよりも、自律性と責任感を好むリーダーのマインドセットとマッチしている点では正当だと言えます。しかし、すべての経験が同じような行程を経て創造されるわけではありません。
最も重要なのは、どれが最も学べる経験を与えてくれるか?を知ることです。まず、自分個人のニーズを振り返ってみましょう。
ポテンシャルの高いリーダー候補やキャリアの浅いリーダーには、ローテーション・プログラムがおすすめです。従業員がさまざまな部署で時間を過ごすことで、多様なリーダーシップ・スキルを学ぶことができる他、各事業部門がどのようにコミュニケーションをとり、協力し合っているかをより深く理解することができます。
また、研修として、もっと経験を踏みたいプロセスにシニアリーダーを参加させ、5年後、10年後、20年後の会社のあるべき姿を語ってもらうのも良いでしょう。今ある企業の枠組みの中でリーダーがどのようにして成功しているのか?を積極的に説明してもらいましょう。
5. リーダーと自己開発計画を立てる
それでは、現在活躍しているリーダーには、どのようなアクションが必要なのでしょうか?ぜひ、各リーダーの役割に必要な資質や、長所と短所を見据えた「あなただけの」リーダーシップ開発計画を立てていきましょう。これらの計画は、あくまでも個人の成長を促すものであり、矯正措置として使わないようにして下さい。
才能あるリーダーに恵まれている場合は、長所を伸ばすように努力しましょう。現状の位置で立ち止まるという行為は、いつかは追い抜かれることを意味するので、自分の専門分野でトップを維持しながら、組織内の「道標」になることを目指すことが大切です。
リーダーシップ開発プログラムの成果を測る方法
どのようなプログラムでも、その効果とROIを測定する必要があります。しかし、リーダーにとって仕事の満足度を高めには「自主性」と「信頼」の2つが主な原動力となることを忘れてはなりません。それでは、リーダーとしての信頼を得ながら、例えば、実際問題として進捗状況を適切にモニタリングするにはどうすれば良いのでしょうか?
まず、社内のリーダーをメンターとして機能させるのも良いアイデアです。いつしか、後輩のリーダーがメンターになる可能性もありますよね。
また、360度評価を使って、同僚から見たリーダー評価を活用しても良いでしょう。ここで、直属の部下とリーダーの間で、一体どのような解釈の違いがあるかがわかりますし、また、アップデートされたリーダーの資質が本当に備わっているかどうかも見えてきます。
もちろん、評価を行動に移すことが何よりも重要ですが、特定の分野で悪いフィードバックを受けた場合は、それをサポートするためのリソースを与えることが重要です。
周知の通り、評価に関するフォローアップを怠ると、プロセスそのものが無意味になってしまいます。もっとも、効果的な360度評価を実施しようとする従業員を無気力にさせてしまうことにもなりかねません。
開発プログラムで伝授すべきトップリーダーのスキル
世界トップクラスの従業員体験プログラムを開発するには、何から始めたらよいのでしょうか?クアルトリクスには、そんな相談を多くの組織から受けます。簡単に言えば、最善のシナリオとしては、組織が持つ固有の業界カルチャーやビジネスニーズに反映したリーダーシップ・コンピテンシーを開発することです。リーダーシップ・コンピテンシーを体系化していない組織では、以下のような一般的な属性に注目してみましょう。
- 目標設定と計画: 組織の利益に貢献する大小の目標を設定する。チーム内のリソースを評価し、そのリソースに基づいて現実的な目標を設定し、全員がその目標に向かって働けるように各人に仕事を割り当てる。
- コミュニケーション: 明確かつ効率的な方法で情報を書き、聞き、話し、提示できることが不可欠。特定のメッセージに最適なコミュニケーション方法(例:電子メールとビデオ会議ミーティング)をとる。
- ネゴシエーション: 強い影響力を持ち、何事にもフェアなネゴシエーターになる方法を習得する。権力ではなく、成果を上げるために従業員に最善の影響を与えることこそが最優先であることを知れば、晴れ晴れとチームに戻ることができる。
- 説明責任: 説明責任を明確にし、直属の部下にコミットメントを厳守させることで、求める結果を出すために自分(リーダー)がどのような立場にあるかを示すことができる。
- 権限委譲: リーダーが手助けを必要とする仕事を含め、他の人に仕事を割り当てる能力は必要不可欠。効果的に仕事を任せることができれば、その仕事に最適なメンバーを選び、明確な指示でサポートすることができる。
- 信頼性: 親切な心を持ち、時間にも厳しいなど、職場で他の人から頼りにされる行動基準や仕事観を設定する。信頼できる人なら、時間通りに正確に仕事をこなし、助けが必要なときにはきっと助けてくれる…と信頼を深めることができる。
- 誠実さ:どのようなプレッシャーを受けても、正直で道徳規範を守り、自分の行動や過ちに対して責任を持つこと。優れたリーダーは、チームのミスや失敗に対して自分自身に責任を持つことさえある。誠実な人は率先して模範を示し、チームメンバーにも目標や行動、ミスに対して責任を持つよう促すものである。
- 決断力: プレッシャーの中でも、迅速かつ十分な知識と質の高い決断を下す能力。決断力のあるリーダーは、決断の選択肢と来るべき結果を理解している。また、決断力には業界に関する深い知識と経験も必要であり、これらは時間をかけて身につけるべき重要なスキルでもある。
- モチベーション: 他人をやる気にさせることができれば、チームメンバーは納得して仕事をこなし、目標を達成し、自らのキャリアを発展させることができる。また、自分の仕事を最後までやり遂げ、目標を達成し、率先的に模範を示すためのセルフ・モチベーションが重要である。
- コンフリクト・マネジメント: テーマや状況について意見の対立する当事者間の仲介を行う能力。コンフリクト・マネジメントを駆使して、それぞれの主張を理解し、すべての議論を調査した上で当事者間の話し合いを仲介し、妥協点へと導く。
- チームビルディング: このスキルは、各チームメンバーの長所と改善点を特定し、相性の良い個性と必要なスキルを備えた強力なチームを作り上げる能力のこと。チームビルディングには、チームがプロフェッショナルとしてお互いを知るためのトレーニングや絆を深める活動を通じて、協力や支援を促す役割も含まれる。
最後に…
結局のところ、優れたリーダーに求められるハードスキルとソフトスキルは、一朝一夕に身に着けられるものではありません。影響力のあるリーダーとして専門的な能力開発を進めるには、直属の部下から常に率直で正直な評価を得ることが大切です。
自分のリーダーとしてのスタイルが自己認識をそのまま実践するものであれば、弱点を認識して改善することもできます。
幸いなことに、チームメンバーや直属の部下は、リーダーという立場で完璧であることを真っ向から期待しているわけではありません。だからこそ、謙虚になり、わからないことは認めて、同僚とコミュニケーションをとりながら、協力し合うことを忘れないようにして下さい。それぞれの専門性を最大限に生かすことを含め、組織全体に効果的なリーダーシップをもたらしていきましょう。
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