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人口統計学的セグメンテーション: セグメンテーションとは何か?

この記事は 9分 で読めます
人口統計学的セグメンテーションを解説したこの記事では、背景、年齢、場所、その他の要因に応じてオーディエンスをセグメント化することで、適切な人々にターゲットを絞り、それぞれの顧客に対してより適切なエクスペリエンスを提供する方法を紹介します。


人口統計学的セグメンテーションの定義

人口統計学的セグメンテーションとは、オーディエンスの構成を理解し、年齢、居住地、社会経済的背景、家族状況などに応じて、複数のオーディエンス・グループを掘り下げていくことです。
例えば、東京都に住む人だけに都民まつりに関する広告を配信する、幼稚園の年長さんの子どもを持つ親だけにランドセルの広告を配信するというように、企業や組織が適切な人に適切な広告を表示するのに役立ちます。つまり、顧客はより適切なメッセージを受け取ることができ、企業は最も効果的な場所にリソースを絞ることができるのです。
人口統計学的セグメンテーションは主にマーケティングで使われますが、ブランド・ポジショニングUXデザインCXなどにも役立ちます。
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人口統計学的セグメンテーションの目的

優れたセグメンテーション調査の目的は、大きな異なるグループを、ターゲットとする製品やメッセージにより反応しやすい、より小さなターゲット市場グループに分割することです。
人口統計学的セグメンテーションは一度やれば終わりの作業ではありません。さまざまな種類のセグメンテーションが、さまざまなブランドや製品に役立つ可能性があります。そのため、特定の状況のニーズに応じて、あらゆる時期にさまざまな方法でオーディエンスをセグメンテーションすることもあります。
例えば、新しい家族向けの車を発売する前に市場調査をするのであれば、世帯の規模、子どもの年齢、住んでいる場所、雇用形態、消費力などに非常に興味を持つでしょう。これに対し、高級スポーツカーの市場調査をするのであれば、まったく別のレンズを通して顧客を見ることになります。

人口統計学的セグメンテーションのメリット: なぜ重要なのか?

では、なぜ人口統計学的セグメンテーションが重要なのでしょうか?そのメリットはただひとつ、「関連性」にあります。ある特定のタイプの人により具体的に焦点てることで、無駄な努力や余計な手間を省くことができるのです。
ここでは、なぜ人口統計学的セグメンテーションがマーケティングおよび製品戦略で重要なのか、その具体的な理由をいくつか紹介します。

より良い情報に基づいた製品開発

製品やサービスを利用しているのはどのような人たちなのか?そしてどのような属性があり、どのような違いがあるのか?これらを知ることは、製品をより良いものにするための重要なステップとなります。
たとえば、購入者の多くが一定の収入を得ていることがわかれば、商品の価格や素材に反映させることができます。同様に、顧客の大半が特定のタイムゾーンを拠点としていることがわかれば、カスタマーサポートの人員を彼らの起床時間に合わせて調整することができます。

より効果的な広告とマーケティングを行う

消費者は、自分に関連性のあるマーケティング資料により敏感に反応します。そのため、特定のオーディエンスのタイプを念頭に置いてデザインされた広告やマーケティング活動は、当然ながら広く一般的なアプローチよりも、常にインパクトのあるものになります。

人口統計学的セグメンテーションを使えば、ソーシャル・プラットフォーム上のターゲティング広告はもちろん、ニュースレターの別バージョンなど、異なるキャンペーン素材を受け取ることができる様々なペルソナを構築することができます。

顧客維持の強化

ターゲットとなる市場を理解すればするほど、対象に特化した商品やサービスを提供していることを顧客にも感じてもらうことができます。パーソナライゼーションは、顧客満足度、顧客ロイヤルティ、顧客維持といった指標にプラスの効果をもたらします。
しかし、ターゲットとする市場を常に把握するためには、人口統計学的セグメンテーションのデータを定期的に更新することが重要です。
人口統計学的セグメンテーション

人口統計学的セグメンテーションの例

人口統計学的セグメンテーションデータは、人々とその生活に関する記述的データで す。さまざまな集団がどのように生活し、自分自身を定義するかを記述するマーカーを使用します。

人口統計学的セグメンテーションの基準例としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 性別
  • 年齢
  • 収入
  • 教育レベル
  • 子供の数
  • 地理的な位置
  • 居住環境(都市、農村、郊外)
  • エスニック(民族性)
  • 性的指向
  • 家族構成
  • 配偶者の有無
  • 宗教
  • 就業年数

人口統計学的セグメンテーションと市場セグメンテーションの違いとは?

最も単純な言い方をすれば、人口統計学的セグメンテーションは、多くの種類の市場セグメンテーションのひとつにすぎません。これらの市場セグメンテーションのカテゴリーは、重複することもありますが、それぞれが他の業種やデータの種類を考慮に入れています。

企業規模別セグメンテーション

企業規模別セグメンテーションは、個人ではなく組織を対象とするものです。ファーモグラフィック セグメンテーションでは企業規模や従業員数などの数値を記述し、中小企業と大企業を区別します。

行動セグメンテーション

行動学的セグメンテーションは、過去の購入履歴、消費、ライフスタイル、使用状況など、ターゲット市場の意思決定パターンを分割するものです。例えば、環境問題に敏感な Z 世代は固形石鹸を好む一方、便利さを重視する高齢者グループはボトル入りのボディソープを購入する傾向があるなどです。

心理学的セグメンテーション

心理学的セグメンテーションは、消費者行動の心理的側面を扱うものです。ここではパーソナリティ、価値観、意見、関心などが分析されるため、企業は特定のライフスタイルを送る消費者に焦点を当てることができます。

人口統計セグメンテーション・データの入手先

おそらく企業には、セグメンテーションに使える既存顧客や潜在顧客に関する情報が存在しているものと思われます。
これは、顧客が直接共有した情報(氏名、生年月日、住所など)から得られる場合や、クッキーやデジタル アプリ・オンライン プラットフォームから獲得できるケースが考えられます。さらには、より明確なオーディエンス像を提供する第三機関のデモグラフィック・マーケティング・データ・サービスを経由して入手する場合もあります。

人口統計学的セグメンテーションの基準
それ以上の情報が必要な場合は、市場統計を収集する次の2つの方法を利用しましょう:それは 公的記録と民間調査です。

公的記録

人口統計学的なセグメンテーションデータは、公的な情報源から容易にアクセスできます。そのため、通常、最も収集しやすいセグメンテーションデータの一種と言われています。ほとんどの先進国や多くの国際機関は、以下のような信頼できる人口統計資料を持っています。

民間調査

多くのマーケティング担当者は、アンケートを通じて消費者や見込み客の人口統計データを収集するのが最も手っ取り早いと考えています。ほとんどの場合、購入後のフィードバックやコンタクト センターのフォローアップなど、別の目的で送付されたアンケートに人口統計学的な質問を追加して行われます。
人口統計セグメンテーション・ソフトウェア

アンケートでターゲット市場の人口統計を把握する場合、質問はアンケートの最後に取っておくようにしましょう。回答者が答えたくない質問(特に収入、民族、宗教など)をすることもありますし、企業としても、核心的な質問にたどり着く前にアンケートを放棄されてしまうのは避けたいものです

クアルトリクスには、アンケートにすぐに取り込める人口統計調査の質問のライブラリが用意されています。回答者に不快な印象や偏見を与えず、混乱させないように人口統計学的な質問をすることが重要です。

例えば、年齢、性的指向、民族性、宗教などの情報を共有することに抵抗がある場合もあります。アンケートの質問を作成する際には、回答者が答えたくない質問をスキップできるように、「回答を希望しない」オプションを含めることをお勧めします。以下は、人口統計学的な質問方法の例です。

「修了した最高学歴は?」

  • 正式な資格なし
  • 中学・高校卒業
  • 職業訓練校/専門学校/技術学校
  • 準学士(短期大学卒業)
  • 学士(大学卒業)
  • 博士号(大学院卒業)
  • 言いたくない

現在のあなたの状況を表すのに、最も適切なものは次のうちどれですか?

  • 独身
  • 既婚者または婚約者
  • 離婚または別居
  • 未亡人
  • 言いたくない

収入に関する情報は、お客様を理解する上で非常に重要です。おおよその数字をお聞かせ下さい。(前年の)税引前の家計所得を選択してください。

  • 300万円未満
  • 300万~400万円未満
  • 400万~500万円未満
  • 500万~600万円未満
  • 600万~700万円未満
  • 700万~800万円未満
  • 800万~900万円未満
  • 900万~1,000万円未満
  • 1,000万円以上
  • わからない・答えたくない

セグメンテーション調査に人口統計学を活用する方法

デモグラフィックは、ブランドや製品への関心に関するアンケートに添付することで、追加情報を収集することができる便利なツールです。
アンケートの最後に人口統計学的な質問を添付しましょう。バナーやクロス集計レポートを作成すれば、どのグループが最も回答が多く、また最も回答が少ないかを確認することができます。
例えば、以下のようなことがわかるかもしれません:

  • 犬を2匹以上飼育している共稼ぎの家庭で、ブランド認知度が最も高い。
  • 一般的に定年退職を迎える年齢になると、製品に対する関心は低下する。
  • 家庭内に小学校に通う子どもがいる場合、顧客が購入する可能性は3倍高くなる。
  • 21歳以下の男性は、電話よりもアプリを通じて営業にコンタクトすることを好む。
  • 大阪府在住の女性は、ブランドに対する認知度が最も高い。

人口統計学的セグメンテーションの次なるステップ

人口統計学的セグメンテーションは、堅実なマーケティング戦略の基礎となります。しかし、ユニークなグループを特定するためにデモグラフィックだけに頼るのはおすすめできません。本当に深く掘り下げるには、行動やサイコグラフィックも考慮に入れる必要があります。
行動には、売上データ、クリック数、SNS へのエンゲージメント、店舗への来店数などが含まれます。サイコグラフィックには、価値観、ブランド嗜好、政治的見解、態度、認知などが含まれます。

属性、行動、そして心理統計を組み合わせることで、強力なマーケティングの三位一体が生まれます。そこから、製品デザイン、チャネル戦略、価格設定哲学、そしてブランドメッセージの原動力となる強力なマーケティング要素が確立されるのです。

セグメンテーションとターゲティング

セグメンテーションは、2段階プロセスの最初のステップです。どのようなグループが存在するのかを理解したら(セグメンテーション)、次にどのグループにアプローチしたいのかを選択しましょう(ターゲティング)。

究極のところ、グループの分け方を理解したからといって、それぞれのグループにリソースを割かなければならないというわけではありません。しかし、そうすることで、勝つためのマーケティング戦略の一部になり得るのは確かだと言えます。

人口統計学的セグメンテーション・マーケティング戦略

人口統計学的なセグメンテーションが完了したら、次はそれらの人口統計学を互いに独立させてターゲットにすることができます。もしかしたら、調査の結果、ターゲットとする市場は圧倒的に1種類の層で構成されているのかもしれませんが、いずれにせよ、特定の属性に合わせたマーケティング戦略は、驚くほど一般的で効果的です。以下はその例です。

年齢による区分とマーケティング

自動車を製造・販売している企業を例に取ってみましょう。ターゲット層のひとつが、免許を取得したばかりで初めての車を探している若者だとします。年齢別のセグメンテーション データは、おそらく所得水準が標準よりも低いことを示すデータと密接に関係しているでしょう。このような知識があれば、当然、その層とそのニーズにマッチしたアイデアを中心にマーケティング キャンペーンを展開すべきです。

この場合、より手頃な価格の車を宣伝し、Instagramのような、ターゲット層の視聴者がよく利用するプラットフォームで宣伝するのが効果的です。そうすれば、間違ったオーディエンスに間違った車を宣伝してマーケティング費用を無駄にすることもなくなります。

年齢による区分とマーケティング

家庭環境に基づくセグメント化とマーケティング

宝飾品会社の場合、マーケティング戦略は御社のデモグラフィック・セグメントに属する人々が既婚か未婚かによって大きく異なるはずです。例えば、未婚者や25~35歳をターゲットに婚約指輪のマーケティング・キャンペーンや広告宣伝を行うでしょう。既婚者や、あるいは結婚するには若すぎる人たちにそのような商品を売り込もうとするのは、多くの場合時間と費用の無駄となってしまいます。

収入に基づくセグメント化とマーケティング

様々な旅行を提供する観光会社は、オーダーメイドのマーケティングで売上を上げるために、人口統計学的なセグメンテーションが大きな違いを生み出すことを痛感しているはずです。アジアをできるだけ安く旅したいと考えるバックパッカーと、豪華なクルーズを楽しみたいと思う定年退職間近の夫婦では、当然ながら集客層が大きく異なります。しかし、それぞれのターゲット層に適切な資料を提供するためには、収入に基づいた人口統計学的セグメンテーションをはじめの段階で行うことが大切です。

人口統計学的セグメンテーションがブランドに与える影響

この記事の冒頭でも触れたように、人口統計学的セグメントは顧客離れを減少させるための秘密兵器となります。
さらに、人口統計学的セグメンテーションは、ブランドの魅力と保持を高めることに直接的に役立ちます。ブランドの魅力と顧客保持は、その核心において、何かの一部であると感じること、つまり、耳を傾け、理解してもらい、評価されることから生まれます。そのため、顧客にできるだけ個人的に接することなしに、良い関係を育むことはほとんど不可能だと言えます。しかし、セグメンテーションはまさにそれを可能にしてくれます。
規模の大きなパーソナライゼーションでは、人口統計学的なセグメンテーションが要求さます。なぜなら、顧客一人ひとりをユニークな個人として扱うことができない代わりに、顧客をより小さなグループにセグメンテーションすることが最善の方法だからです。
真にパーソナライズされた体験を創造するには、年齢区分、地域区分、収入、学歴、配偶者の有無、その他あらゆるデータを使って人口統計学的セグメンテーションを構築することで、顧客が誰なのかがわかります。つまり、何が彼らを動かすのかが見えてくるので、それにマッチした製品、サービス、マーケティング キャンペーンを提供することができきます。これこそがブランド・ロイヤルティを築くことを可能にします。
さらに、リピーターと新規顧客を区分けすることで、顧客に対して報いることもできます。

人口統計学的セグメンテーション:適切なツールの使用

人口統計学的セグメンテーションをマスターしている企業は、より良いパフォーマンスを持つ製品、より良い市場でのポジショニング、そしてより強い成長が得られます。しかし、さまざまなターゲット市場のタイプを理解し、それに合わせた区分を行い、これまで以上の対話を実践したいのであれば、面倒な作業を代行してくれる最新のエクスペリエンス管理ツールが必要です。
予測AIダッシュボード
Qualtrics BrandXM™のようなツールを使えば、各セグメントがブランドにどのように共感しているかを測定し、またそれを改善することができます。

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