アンケートデザインとコンプライアンスのベストプラクティス

このページの内容:

ExpertReviewについて

ExpertReview (英語)は、アンケートを配信する前に全体の品質を確認するクアルトリクスプラットフォームの機能です。可能な限り高品質のデータを回収するため、アンケートの改善方法について最善の提案をします。以下はExpertReviewから提示する改善策です。

予測時間

我々のデータは、12分(モバイルの場合は9分)を超えるアンケートから相当なレベルの回答離脱者が出始めることを示しています。長いアンケートが必要な場合もありますが、回答率を上げるには、そのようなケースは可能な限り避けるべきです。

ヒント:ExpertReviewで計算される指標は、アンケートに含まれる最長パスおよび最短パスの両方を検討します(つまり、アンケートフローも検討されます)。最長パスは以下に基づいて予測されます。

  • 人間が300ワードを1分間に読む平均速度
  • ページにある質問間の移動にかかる500ミリ秒間
  • ページにある選択肢間の移動にかかる300ミリ秒間
  • ページ間の移動にかかる3秒間
  • スライダーの質問の回答選択にかかる2秒間
  • 自由回答の記入にかかる10秒間
ヒント:ProductXMで使用されている、MaxDiff (英語)コンジョイント分析 (英語)の質問では、回答者によるこのような質問の一般的な回答方法により予測時間はさらに異なります。

つまらない質問が何ぺージも続くアンケートは、一目見ただけで「こんなもの、最後まで答える気が起きない」という気持ちを生み出します。アンケートが長い場合は、回答する人はその話題に非常に興味があるか、優しすぎるか、従業員、もしくは回答時間分謝礼をもらっている人のどれかである必要があります。インターネットでのアンケートは、回答者が一度に全ての設問を見られないことが多いので若干メリットがあります。ただし、アンケートのページ数が多いと、回答率は劇的に下がります。

回答率を上げるには、アンケートを短くすることに加えて、以下の点に留意することを推奨します。

  • 回答者には、アンケートの回答にどれくらいの時間がかかるかを前もって伝えておきます。
  • プログレスバーを使用すると、回答率が下がることがあります。
    • 代わりに、残回答時間を示すメッセージを使用することをお勧めします(例:「残りあとわずかです!」)。

アンケートを短くするTipsを知りたい場合は、[質問を削除 (英語)]のサポートページを確認してください。

モバイルの互換性

クアルトリクスのアンケートは最大53%がモバイルで回答されています。しかし、モバイル回答者の多くがアンケートを最後まで完了せずに離脱してしまいます。「モバイルフレンドリー」のアンケートは、回答率およびデータの代表性を上げます。

アンケートにモバイルの互換性を持たせる方法がわからない場合は、モバイルアンケートの最適化 (英語)のサポートページを確認してください。

自由回答欄の数

回答者にとって、自由回答の記入は比較的に精神的な負荷がかかります。アンケートに自由回答欄が3つ以上あると、回答率が下がり、回答文字数も少なくなることが判明しています。回答欄を作成する前に、アンケートに自由回答の質問が必要かどうかを検討しましょう。

自由回答の質問 (英語)を使用する前に、検討すべきデメリットを以下に記載します。

  • 回答時間が増えます。
  • Webアンケートでは、回答者が価値のある記述回答をしてくれないことが多いです。
  • 自由回答をコーディングまたは分析する必要があります。
  • 大幅なばらつきや偏りが生じる可能性があります。
  • 最終的に、このタイプのデータ収集は作業を増やすことになります。

自由回答の質問があまり使用されない理由は、一般的に回答者が自由回答を好まない傾向にあるからです。ただし、自由回答の質問を上手く使用すれば、過度の認知的要求および回答時間の冗長化の両方を回避することが可能です。具体的で答えやすい自由回答の質問をすることで、この有用な質問タイプのメリットを享受でき、回答者を悩ませたり疲疲弊させることを回避できます。

例えば、数字の回答を求めるケースでは、自由回答の質問を使用するのが望ましいです。人の年齢を尋ねる場合、回答者にとっては数字で入力する方が、ドロップダウンから選択するよりも楽です。また、年齢層を選択させるよりも正確です。クアルトリクスの検証オプション (英語)を使用することで、適切な回答のみを回収するこができます(例:18から100までの数字のみを受け付けるように制御することができます)。一般的に、自由回答の質問は他のタイプの質問よりも回答者を早く疲れさせてしまい、アンケートの完了前に離脱してしまう傾向が高くなるので、使用しないことが最善です。

自由回答の質問または「自由回答欄を許可」ボックスを削除する方法がわからない場合は、質問を削除 (英語)自由回答を許可 (英語)のサポートページを確認してください。

マトリックス表の数

マトリックス (英語)表は回答者にうけないことをご存知でしたか? 研究によると、マトリックス形式の質問を使用すると、回答の質と回答率の両方が下がることがわかりました。アンケートに含まれるマトリックスの行数が、回収したデータの質に負の影響を与えることがわかりました。

選択肢の簡易化を推奨します(例:全く同意しない、同意しない、どちらでもない、同意する、強く同意するという選択肢は同意しない、どちらでもない、同意するに簡易化できます)。適切な部分には多肢選択式 (英語)の質問を使用し、マトリックス表を最小限に抑えるようにしてください。

接続詞(「と」、「または」)の数

質問の中に、「と」や「または」などの接続詞が含まれていると、二重質問になっていることにお気づきでしたか? 二重質問は回答者を困惑させ、分析が無効になってしまいます。説明や質問ははっきりと具体的にするようにしてください。

ヒント:1つの質問で2つのことを聞くことを、二重質問といいます。例えば、「あなたにとって最も速く、最も経済的なインターネットサービスは何ですか?」という質問です。最も速いことと最も経済的であることは常に比例するとは限りません。

ExpertReviewは、文法的に接続詞を含むことで問題となる可能性のある質問を検出します。有効な結果を導くために、聞くテーマを1つにするか、2つのテーマについて聞く必要がある場合は、質問を2つに分けるようにします。

質問をコピーして編集する方法がわからない場合は、[質問を作成 (英語)]のサポートページを確認してください。

アクセシビリティ:WCAG

ExpertReviewは、アンケートの質問の1つまたは複数がWCAG AA/508にアクセシブルでない場合に表示されます。組織にとって、回答者へアンケートを送信することが要件でない場合は無視することもできますが、できる限りアクセシブルなアンケートにすることを常に推奨しています。

アンケートをアクセシブルにすると、さまざまな層の回答者がアンケートを最後まで回答してくれる確率が上がります。アクセシブルでないアンケートは、意図せずに回答者を調査から排除しかねません。

注意:質問のアクセシビリティは使用する質問のタイプによって判断されます。ExpertReviewは、質問の見た目とデザインがアクセシブルかどうかは評価しません。最終的に、アンケートのアクセシビリティを検証する責任は作成者にあります。

アンケートがアクセシブルかどうかの確認方法がわからない場合は、WCAGに準拠している機能のリストについてアンケートのアクセシビリティ (英語)サポートページをご覧ください。

質問の読みやすさ

質問が読みにくくなればなるほど、回答者がアンケートを完了するのに時間がかかります。そして、アンケートを放棄したり、質の低い回答をしたりする傾向が高くなります。使用する語彙の複雑さと質問の長さから、読みにくい質問と見なされます。

以下は質問を読みやすくするのに役立ちます。

  1. 長い単語は短い単語に置き換えます。
    例:「ご滞在は充実感のあるものでしたか?」 vs.「ご滞在に満足されましたか?」
  2. 質問は簡潔に、的を射たものにします。以下は役に立つヒントです。
    • 質問に不必要な説明を加えないようにします。文脈を組み立てることは悪くはないですが、やりすぎないでください。
      例:以前ご回答いただいた方から、大人数のグループやご家族で旅行される場合に、割引サービスを受けやすくしてほしいというご要望がありました。現在では、1名様分の料金で2部屋予約できるようになりました。1から10の間で評価するとしたら、どの程度このオファーで購入したいと思いますか?
    • 不必要な文節や単語は省きます。
      例:「私たちのホテルへのご滞在を可能な限り楽しいものにしていただくため、スタッフに何かできることはありますか?」 vs.「ご滞在をより楽しんでいただくため、私たちにできることはありますか?」
      ヒント:副詞やつなぎ言葉は、常に文章の意味を損なうことなく、省くことができます。
    • 受動態では、能動態よりも長い文節が求められます。能動態の方を使用しましょう。
ヒント:質問の読みやすさはフォントの色や背景のコントラスト、フォント種類などを評価しません。

参照

このページに掲載されているアンケートメソッドの多くは、クアルトリクスの主席研究員であるDavid L. Vanette(デイヴィッド エル ヴァネット)氏のクアルトリクス質問デザインハンドブックから引用されています。ハンドブック全体を読むには、こちらのWebページ (英語)をご覧ください。